おすすめCD情報「こんな時、こんな曲」


Blue in Greenオーナーによる独断と偏見にあふれた音楽情報をお送りします。
4000枚を超えるCDストックと、毎月十数枚のペースで増つづける新譜の中から「こんな時、こんな曲」、季節やお天気、その日の気分にあったCDを紹介します。
音楽も、その気になって聴いてみれば、その音の中にそしてあなたの心の中にも新しい発見があるものです。あなたのテイストにあったCDを見つけてみてください。

2008年11月10日(月)
思い出の名盤 〜 オフコース 〜 We are

ボクの高校から大学時代、オフコースの全盛期だった。当時の小田和正は今よりナルシストで、その姿が彼の完璧主義を助長していた。この「We are」というアルバムは、オフコースが5人グループになった集大成的な作品であり、彼らの最高傑作と言って良いだろう。そしてこの後出した「Over」で一つの区切りを付け、鈴木康博が脱退する。当時としては驚異の武道館1週間公演、そして最終公演の小田の涙は今見てもグッ来る。そう言えば、このアルバムが出た当時、FM-NHKで彼らのライヴがオンエアされた。このライヴの最後の2曲のハーモニーは鳥肌物。ボクはエアチェック(死後)したテープを大事に持っていたものが最近伸びて聴けなくなっていることが分かりとてもショック。誰かこの音源、持ってないかな〜?。NHKさん、これを蔵出ししてくださいよ!

2008年11月4日(火)
やっとこの「渋さ」が分かるように・・ 〜 Van Morrison / What's wrong with this picture?

「Van Morrisonの作品には駄作がない。」と誰に聴いても、またどんな音楽雑誌を見ても言われているので、この夏、何枚か聴いてみた。これはそのうちの一つ。どこかで聴いたことのあるような、懐かしいメロディーが並び、ほんわかしてるうちに一枚聴き終えてしまう、そんなアルバム。この人は本当に多作で、これまでに30枚以上出ているので、どれから聴いてみて良いやら迷いました。なるべく最近のものから、と思ってもう一枚、「Magic Time」も聴いてみましたが、これも良いです。でも、どのアルバムだったっけ?って言うくらいどれも良く似ています。だからかな、駄作がないと言うのは。ホントどれも良いです。

2008年10月23日(木)
落ち着いて聴けるようになりました。 〜  Mogwai / The Hawk is Howling

インスト・ロックまたは、ポスト・ロックの先駆けとして一つの時代を築いたMogwaiの新作です。このジャケット・デザインそのものの「雄々しさ」さえ感じられる内容になっています。彼らの持ち味は、繊細な一音一音から始まり最後は怒涛の轟音というドラマチックな曲の展開。このアルバムでもその手法は健在。でも一味これまでと違うのが、打ち込みを効果的に入れてより表現力が増したところか。前作まででちょっとマンネリ感を感じていた人には新鮮に聴けるかもしれません。彼らのフォロワーが星の数ほど出て、彼らの地平を荒らして行ったけど、「それがなんぼのもんじゃい!」と言わんばかりの内容とこのジャケットです。初めてMogwaiを聴く方にはお勧めの一枚です。個人的には3rdのRock Actionを超える作品を期待したいところですが・・。

2008年10月6日(月)
Cute!!でも只者ではない新星 〜 Esperanza Spalding /  Esperanza

このところ、Jazzyな渋〜い女性ジャズ・ヴォーカリストが多く脚光を浴びる中、このEsperanzaは実にCuteで明るいジャズを聴かせてくれる。でもかわいいだけじゃないんですよ、この子。現在24歳、バークリー音楽院を優秀な成績で卒業し、今は見ての通りジャズ・ベースを教えてるらしい。こんなにベースを弾きながら歌が歌えるの?と思ってYoutubeで見てみたら、実にしなやかに力強く、自分の体ほどのベースを弾きながら、アイドルのような声で歌っていました。女性でベースと言えば、ミッシェル・ンデゲロチェロや日本では元AjicoのTokieちゃんなどいますが、ヴィジュアルの良さからは後出のtokieちゃんタイプかな。曲調はボッサ・ジャズ風で明るいうちから聴ける、さわやかなものです。今年下半期の一押しです。

2008年10月1日(水)
今、注目の日本人ドラマー 〜 大槻”KALTA"英宣 /  Vertical-Engine

このジャケットかっこいいじゃ〜ん!思わずジャケ買いしてしまいそうだが、中身もジャケに違わずかっこいいのだ。以前、ここでもご紹介した日本の若手イケメンバンド「TKY」でドラムを叩いていたのが彼である。日野賢二と一緒にこのバンドで一番目立ってました。このアルバムは彼のリーダー・アルバムだけあって、かなりツッ走ってます。タイトなジャズ・ファンクの好きな方には、かなり面白いかもしれません。

2008年9月25日(木)
野生のフレンチ・ヴォイス 〜 Camille  /  Le Fil

様々なジャンルの音楽に触手が動いてしまい、何に一番感動するのか自分でもよく分からなくなってしまっている中、やはりググッと心動かされるのが人の「声」ですね。どこから絞り出しているのか分からないほど、魂の響きに似たような「声」に出会うと、思わず涙がこぼれるほど心動かされます。このcamilleも一声聴かされてやられてしまいました。自由奔放な女の子が、自然と見せる原始の色気っていうのかな・・・?、甘ったるさの中に野性を感じます。フランス語の歌詞がまたその甘ったるさを引き立て、最近とてもはまっています。陽だまりの午後3時くらいがちょうど合うかな。甘〜いカフェラテとともにどうぞ。

2008年9月4日(木)
好きな人以外は聴かないで! 〜 Don Caballero / Punkgasm

最近、少し下火になりつつあるポスト・ロックという言葉。モグワイやゴッド・スピードなど一通りの流派が出そろった感がある。そんな中、老舗のドン・キャバレロから新譜が届いた。でも、この人たちは、ポスト・ロックが語られる以前から、このスタイルでやっていて、新譜でも変わらず突き進んでいるので、シーンとは無縁なのかもしれない。ドラム、ギター、ベースの3ピースでゴリゴリと変拍子をたたき出してくる。今回は録音がまた良いので聴いていても奥行きが感じられる。ジャズ的かな?と思えば、インプロヴィゼイションがほとんどないのでそうとは言い難い、かと言って、ヘヴィ・メタルかと言えば哀愁を帯びた様式美がない。誤解を承知で言えば、弦楽四重奏のハード・ロック版かな?挑みかかるようにスピーカーに向かって音楽を聴ける人以外にはお勧めできません。

2008年8月15日(金)
なんで「ソロ」なの? 〜  Takuya Ohashi / DRUNK MONKEYS

「これ、スキマの新しいの!?」我が家の息子たちはすぐに反応しました。全くその通り、スキマスイッチのヴォーカル、大橋卓弥くんのソロ・アルバムです。キャッチーなメロディはスキマスイッチの流れそのものなので、大橋くんがソロでやりたかったことがよくわかりません。これならスキマスイッチ名義で出せばいいじゃん!て感じですが、どうなんでしょう。アフロの彼(名前を知らないもので・・・)と仲が悪いんでしょうか。息子たちはそんなこと関係なく、毎日3回は聴いています。やっぱりキャッチーで良いです。

2008年8月1日(金)
ロックの王道をさらりと行く。 〜 Beck / MODERN GUILT

このジャケット・デザイン、これまでのベックのイメージと違ってシックな色調が期待感を抱かせます。中身もロックの原点に回帰するようなシンプルなもの。ベース・ラインがとてもオーソドックスなイメージですが、そこはベック、音の切れ味は最先端をちゃんと行っています。一瞬、ビーチボーイズの「ペットサウンズ」を聴いているかの錯覚を起こしたのはボクだけでしょうか。タイトル通り、モダンでありながら王道を行くあたりは、さすがです。

2008年7月21日(月)
この頃気になる女性ヴォーカル B 
〜 Joan as a Police Woman / To Survive

ジョーンがなぜポリス・ウーマンなのかは調べていませんが、ジョーン・ウェィサー(発音も不明です)のソロ名義のアルバムです。パティ・スミスのような・・・とどこかで書いてあったので買ってみました。ところがパティ・スミスと言うよりは、アン・レノックスの作品に近い感じがしました。そりゃ、アンほど歌はうまくはないけど、「歌い上げる」的な方向性はちょっと類似するかと。もう少しぶっきらぼうなエネルギーを感じるのかと期待しましたが、意外とまとまっていて、これはこれで聴けます。ここまで3作女性ヴォーカルにこだわってみましたが、やはり今は女性ががんばっています。密かにマドンナの新作が気になっていたりもしています。

2008年7月19日(土)
この頃気になる女性ヴォーカル A 
〜 Melody Gardot / Worrisome Heart

気になる女性ヴォーカルの第2弾、メロディ・ガルドーです。ノラ・ジョーンズが開いたジャズ・ポップの市場は多くのフォロワーを産んでいますが、彼女もその中の一人と言っても良いでしょう。曲はすべて彼女のオリジナルで、ソングライターとしての実力はノラ以上ですが、ヴォーカリストとしてはやはり比較対象が先に出てしまった以上ちょっと不利かも。雰囲気もノラのアルバムとよく似ていてすばらしいのですが、どうしても「これ、ノラ・ジョーンズみたい!」と言われてしまいそうで可哀そうでもあります。もともとギターの弾き語りでスタートした人なんでしょうが、今はこの流れでいかないと売れない、と,ここへ持ってきたのでしょう。アルバムとしてはとても良く出来ています。

2008年7月16日(水)
この頃気になる女性ヴォーカル@ 〜 Martha Wainwright / I know you're married but I've got feeling too

最近、「ジャズなるもの」的なアルバム、それも女性ヴォーカルのアルバムが多くリリースされています。それもこのジャケットのような、ちょっとそそられるような写真を使ったものが増えています。このマーサ・ウェインライトは、あの「はなうた王子」の妹でもあり、父母ともにミュージシャンという音楽一家のひとり。家柄の良さを感じさせます。(ホントか?)全体の感じは、シンディ・ローパーからちょっと毒を抜いたような味わいで、アレンジは見事です。たぶんこのアルバムは売れるんだろうな〜、と感じる80点の作品です。

2008年7月9日(水)
おもしろい試み 〜 Dzihan & Kamien Orchestra / Live in Vienna

何がおもしろい試みかって?、このD&KはもともとテクノDJミュージシャン。だから様々な音の切り張りでアルバムを作って来た人たち。ところが彼らがオーケストラを作ってライヴ講演をやってしまったというわけ。6人のヴァイオリニストをはじめ、サックス、トランペットなど総勢20名からなる生楽団が、エレクトロニクスの打ち込みサウンドをすべて「生」で演奏するわけです。これはたぶん、原曲を知っていないとこのおもしろさも理解できないかもしれません。さしずめYMOの曲をオーケストラでやるようなもの。実におもしろいでしょ、一度聴いてみてください。

2008年6月23日(月)
フレンチとアフリカが溶け合う音
 〜    Raphael Sebbag / El Fantasma De La Libertad

今では死語に近い扱いを受けている「アシッド・ジャズ」。それの日本での草分け的存在だったのが、UFO(ユナイテッド・フューチャー・オーガニゼーション)。UFOのメンバーの一人、ラファエル・セバーグのDJワークから生まれたのがこの作品。ジャケットにもあるように、フレンチ・アフリカンなモロッコがテーマのようだ。歌詞はフランス語なのでシャレた感じはもちろんだが、そこにちょっと砂漠の匂いが漂うところがオモシロイ。この地中海を囲んだ地域の音楽が最近とても熱い。バルセロナ、ナポリ、アルジェなど様々な民族が融合して熱い音楽を聴かせてくれる。このアルバムはそこまで意識しているかは分らないが、ただのオシャレでは終わらないところが流石である。

2008年6月16日(月)
日本ジャズ界のイケメン集めました。〜 TKY / TKY

以前ここでも書きましたが、日本の若手イケメン・ジャズ・ミュージシャンを3人集めて話題となったアルバムがこれです。T(TOKU)、K(日野賢二)、Y(小沼ようすけ)を中心としたクインテット。これがなかなかアグレッシヴでカッコよい。このバンドのグルーヴを支えているのが、日野賢二のベースと大槻”KALTA"英宣のドラム。この二人の音圧に圧倒されながら、他のメンバーがなし崩し的に音の坩堝の中に溶け込んでいく感じ。この力強いグルーヴの中ではTOKUのメロウな魅力が生きないような気がするが、ちゃっかり日本のチェット・ベイカーは一曲、声も披露している。ちょっと昔のフュージョン風あり、70年代マイルス風ありと楽しませてくれる、日本のジャズ界の「今」を映した作品となっている

2008年6月5日(木)
いつまでも値が下がらないヒト 
    〜 佐藤竹善 /  Cornerstone Domestic Mix at the lounge
実は佐藤竹善さんってあんまり知らないんだけど、たまにテレビの音楽番組なんかで大事に扱われてるところを見ると、なかなか値が下がらない存在なんじゃないかな?と思って聞いてみました。まずはこのジャケットでやられますよね。つい手に取ってしまいそうです。内容はたぶん同名アルバムのRe-Mixなのかな?「ロビンソン」や「らいおんハート」などお馴染みの曲のカバーなのですが、意外と思いきったアレンジで楽しませてくれます。その上に色んなリミキサーにいじられて、なかなかの仕上がりです。でもやはり、この人はこの「声」なのかな。一声いくらの価値を感じます。
2008年5月31日(土)
話題のお騒がせシンガー 
        〜 Amy Winehouse / Back to Black

ノラ・ジョーンズ以来ジャズっぽいものがおおいに流行っています。このエイミー・ワインハウスもその一人(なのかな〜)。しわがれてドスのきいた声がウケてるんでしょう。スタンダードを何曲か歌っていますが、アレンジはいたってシンプルで聴きやすく、思ったよりソフトでした。カサンドラ・ウィルソンの「トラベリング・マイルス」あたりの、もっと思い切ったアレンジが彼女にはお似合いかと思います。実生活でもクスリで捕まるなど無頼な側面ばかりが注目されてますが、今後の更生(構成)に期待しましょう。

2008年5月19日(月)
着眼点はすばらしいのだが・・・〜今井美樹 /  I Love a Piano

実は、ボクは今井美樹が結構好きなんだよね。しゃべり声であれだけ歌える人っていないでしょ。今回の新譜、このジャケットからも想像つくように、確信犯的にジャズ・ファンを狙っての脚線美。企画もタイトル通り、ピアニストとのデュオというもの。7曲全曲でピアニストを代え、コラボレイト色を全面に押し出す発想である。でも、ちょっと企画におぼれてしまっている観がある。はたして、どれだけのリスナーが各ピアニストの個性を感じることができるか疑問である。そして、選曲も彼女の代表曲のアンプラグド版と、一粒で二度おいしいところを狙ってしまっている。この企画なら、ピアニストの得意分野に今井美樹が出かけて行っても良かったのではないかな。アルバムのまとまり具合はなかなか良いです。今井美樹をこれで初めて聴いたら、きっとファンになってしまうでしょう。今度は「I Love Guitarist」ってのをやってくれるとおもしろいかも・・。

2008年5月18日(日)
Darkに浮遊するトランペット〜Nils Petter Molvaer / Re-Vision

荒涼とした大地、はたまた寒々とした海辺にひとりたたずむ孤高のトランペッター。ニルス・ペッター・モルビルの新作は、過去に彼が手がけた映画音楽からの抜粋である。なるほど彼の音楽は映画を彩るには、はまりすぎるくらいはまる。それは、裏を返せば彼の音楽が何か映像を思い起こさせるだけの雰囲気があるということか。彼を音楽で起用した映画監督も、もしかしたら彼の音からインスパイアされて映像づくりをしたのではなかろうか。北欧のミュージシャンのアイデンティティを如何なく発揮したCoolnessは多くのフォロアーを産んでいる。あえて、ドカーンと落ち込んでみたいとき、最適です。

2008年5月12日(月)
意外と「まとも」で驚きました。 〜 Cat Power / JUKEBOX

気だるいヴォーカルに不安定な演奏が売りのCat Powerの新譜です。しばらく旅行が控えていたので、CD購入も控えめにしてました。久々の新譜購入で期待が高まっていたところ、いい意味で裏切られました。以前の彼女の弾き語りときたら、「おい、おい、大丈夫?」と言いたくなるほど不安?定で、それが聴きなれると癖になる、そんな納豆のような魅力がありました。ところが、このJUKEBOXでは、バックの演奏は確かだし、彼女のヴォーカルもまともだし、「これCat Powerじゃないじゃん?」て感じにうまくまとまっています。入門者にはこの程度がよろしいのでは、とも思います。このアルバムも全曲カヴァーです。原曲と聴き比べてみるのも面白いものです。気だるい女性ヴォーカル好きにはお勧めです。

2008年4月24日(木)
お琴のイメージが変わります。 〜 Michiyo Yagi / Seventeen

うららかな春。満開の桜の花を見ていると、頭の中に流れてくるのは、ゆったりとしたお琴の音色。日本人だな〜、とつくづく実感します。・・が、この人のお琴を聴くとそのイメージが変わります。このSeventeenというタイトルは彼女の奏でる17弦琴(すべての琴がそうなの?)からきている。琴の可能性を追求した意欲作といえる。演奏風景や服装なども型破りなもので、2台?の琴をキーボード・スタンドのようなところに置いて、髪を振り乱して演奏する様は、まるで前衛アーティストです。多くのジャズミュージシャンとの共演経験もあり、ボクもこのアルバム以外に、ノルウェーのジャズバンド、アトミックのリズム隊との共演盤も持っています。が、あまりにもフリーすぎて、すべて聴くには体力がいります。このアルバムはBGMとして流しているだけでも、部屋を凛とした雰囲気にしてくれます。ちょっと、生活に変化を・・・とお考えのあなた、おススメです。

2008年4月21日(月)
ショウを演出するシャレた音楽 
〜 Seigen Ono / COMME des GARCONS 2

このオノ・セイゲンという人、とても不思議な存在です。ジャズ・ミュージシャンというよりはコンポーザーと言った方が良いのでしょうか。この作品はコム・デ・ギャルソンのファッション・ショウ(なんだか陳腐な言葉だなあ・・・・)のために書き下ろしたもの。最近この手のコンテンポラリー・ジャズが注目を浴びだしています。演奏者の個性よりはアレンジメントの妙を聴かせるような、そんな感じです。ジャズではありませんが、ちょっと前に冨田ラボなんかも同じような印象を受けました。ヨーロッパの香りとともにどうぞ。

2008年4月18日(金)
問題作?なのか・・・。 〜 菊池成孔Dub Sextet 
/ The Revolution will not computerized

世間の熱も少し冷めてきた感もある、菊地成孔のニュー・アルバムです。ジャズ界の若き奇才として、70年代のエレクトリック・マイルスを下敷きにした作品で、ひとつのムーヴメントを作ってきた彼の新作は、さらにそれを10年遡った、アコースティック・マイルスの最後期をイメージした趣となった。アコースティックなジャズをDubで味付けを・・という試みは特に目新しいものではないが、ここでの彼は、真剣にメイン・ストリームのジャズをやろうとしているように聞こえる。世間の期待と自己のアイデンティティーとの葛藤のなか、彼が至ったところは、実に正当なジャズ・スタイルだったのでは、と感じる。ボクはこの作品に対する批評は一切読んでいないが、この作品の下敷きは、「ネフェルティティ」ではないかと思う。あの臨場感を出すためにDub手法の手を借りたのではなかろうか。実に面白い作品だ。

2008年4月7日(月)
たまに聴きたくなるライヴの名盤 〜 Genesis / Second Out

昔、中学から高校にかけて、プログレが大好きな時期がありました。イエス、キング・クリムゾン、ピンク・フロイドなどと一緒によく聴いたのがこのジェネシスです。今ではフィル・コリンズのメジャー路線に乗って、ポプュラー・バンドですが、この頃はライヴが売りのプログレ・バンドでした。もしボクが、「これまでに存在したミュージシャンのライヴで、どれが一番見てみたい?」と聞かれたら、たぶんこの頃のジェネシスを上げるでしょう。ライヴで試される演奏力はもちろん、ステージ演出も当時としては最高でした。今では当たり前にステージで使われる、クルクル回る照明「ベリー・ライト」。あれを初めて使ったのがジェネシスということです。機材の膨大なゆえ、結局日本では見ることができませんでした。LP盤で言うD面、CDで言う最後から3曲の盛り上がりが最高です。ライヴに興奮したい方、ぜひ買いです。

2008年4月5日(土)
ゆる〜い、Grooveを・・・ 〜 BLKtop Project / BLKtop Project

昔、カラパナというハワイあたりから出てきたバンドがあったのをご存知ですが?。ハワイアンでもなくサーフ・ロックでもなく、でも十分海を思いださせてくれるサウンドに心を奪われた時期がありました。このバンドはハワイからではなくサンフランシスコからですが、海の雰囲気が満載です。トミー・ゲレロやレイ・バービーなどプロのスケート・ボーダーたちが集まって、ボードをやりながら聴きたい音を自分たちで作ってしまったらしい。ボーダーのファッションよろしく、全体的にゆる〜い感じですが、そこにボードのスピード感が加わってカラパナを初めて聴いた時の印象を与えてくれます。ジャック・ジョンソンあたりと同じ流れをくむ連中なので、そんなのが好きな方にはおすすめです。これはミニ・アルバムに近い内容ですが、最近、フル・アルバムが出たらしいので要チェックです。

2008年3月20日(木)
ジャズなのか、それともロック? 〜 him / Peoples

ちょっと陳腐な問いで恥ずかしいのですが、最近、特にジャンルの垣根がなくなり「これはナニ」と一言で言えないもどかしさが募ります。たぶんCD屋さんはもっと大変かもしれませんが・・。このhimはジャンルで見ると「ポストロック」に入っているようですが、この言い方も範囲が広がりすぎて、的確に伝えるには言葉が足りなすぎるように思います。曲調はちょっとケルト風なアンサンブルとエレクトロニカが絡んだ雰囲気のインスト。このバンドのドラムのアダム・ピアースはひとりユニット、マイス・パレードで知られる存在。音楽の種類としては、これら2つのバンドやディラン・グループなども同じ雰囲気を持っています。日本版のボーナス・トラックは軽快で聴きごたえありなのでお勧めします。検索するとHiMというゴス・ロックが先に引っかかって来るのでご注意ください。

2008年3月17日(月)
春霞のなか漂う音の粒 〜 Jacques Loussier Trio / Satie

春になると、どこからともなく漂ってくるあの音、「タタ、タンタンタン、タタタタ〜ン・・・」(イメージできるかな?)。エリック・サティの代表曲「ジムノペティ No,1」。この音の並び、何だか不安定なんだけど落ち着いてしまうのは何故だろう?。で、このアルバム、ジャック・ルーシェがジャズ・アレンジに味付けをしたサティです。このジャック・ルーシェというフランス人ピアニストは、バッハをジャズにアレンジして一躍有名になった人。ボクもこの他にビバルディの「四季」を持っていますが、なかなか面白いです。原曲では登場しないドラムの効果的な使い方にはどれも脱帽です。春のうららかさのなか、このサティを聴いていると、「あ〜、もうなんにもやりたくな〜い」って気持ちになります。

2008年3月14日(金)
フワフワとアルゼンチンから 〜 Juana Molina / SON

春の靄の中をフワフワと漂っているような、不思議な感覚を与えてくれる作品。フアナ・モリナの4作目の「SON」はいつもと変わらずアルゼンチン音響派と言われる独特な雰囲気を楽しませてくれる。彼女のステージは、アコースティック・ギターを抱えた彼女の隣にラップトップのパソコンが一台あるだけというシンプルなもの。フォーク・ソングにユラユラとした音響エフェクトが加わるという感じ。
春、ボーッと空を眺めながら聴くには良いかも。

2008年3月9日(日)
春に聴くオーガニック・サウンド 
〜 Iron and Wine / The Shepherd's Dog

実に印象的なジャケット・デザインでしょ。思わずジャケ買いしてしまいそう。目の丸い、ちょっと狂ったような犬のデザインから出てくる音は、ボクの印象では全く違ったものでしたが、聴きこむうちに味が出てくる、そんな作品。オーガニックなフォークとエレクトロニカがちょっと絡んだ不思議な浮遊感が感じられます。このアイアン&ワインはサム・ビームという人の一人ユニット。この前の作品はアリゾナのバンド、キャレキシコとの共演盤でTexMexなサウンドに絶妙に絡んでいました。例えるならば、ロバート・ワイアットをもっと暖かいところへ連れて行った風です。春風に吹かれながら、ビール片手に聴くには最高です。

2008年3月8日(土)
久々の臨場感あふれる"Live"! 
〜 クラムボン /  3peace Live at 百年蔵

今や日本を代表するバンド、クラムボンのライヴ・アルバム。古い酒蔵で行われたライヴは、久々の臨場感あふれる作品に仕上がっている。アルバム・タイトル通り、3人の息の合ったインタープレーが聴きもの。この演奏の直前に出された彼ら初のカバーアルバム「Lover Albumn」から数曲、それも演奏力が試されるラインナップで楽しませてくれる。たっぷり2枚組で嬉しいのだが、あの原田郁子の独特な声は好き好きが分かれるところ、最後まで聴くとお腹いっぱいになる人もいると思います。やはり蔵の中という小さな空間での、観客とのやり取りなど目の前に状況が浮かび上がるほど臨場感があり、ライヴ・アルバムとしては素晴らしいできです。日本のバンドもがんばってます。

2008年3月2日(日)
春の訪れを告げるフレンチ・ポップ 〜 lilicub / la grande vacance

明日はひな祭り。春が近付くとなぜかフレンチ・ポップが聴きたくなる。あのウキウキしたちょっとバカバカしげでもある独特な調子が春めいた陽気によく合います。このリリキューブ(リリカブ?)は男2人、女1人の混声トリオ。曲調は、ベタなフレンチをあえて意識した今風なアレンジで「フレンチ・ポップも聴いてみようかな。」という方にはツボにはまる作品といえます。数年前、まだコンビニでCDが売られていた頃、ジェーン・バーキンのベストが清里のセブンでも売られていて、こんなの誰が買うの?とビックリしたことを覚えていますが、意外とフレンチを聴く人も増えているのではないでしょうか。春の陽気に誘われて、一度ご賞味ください。

2008年2月26日(火)
キャラメル・ヴォイスのブルース 
〜 Rickie Lee Jones / The Evening of My Best Day

キャラメル・ヴォイスって言葉があるかどうか分らないけど、キャラメルのような甘ったるい声の持ち主ということです。放浪のブルース・シンガー。若くして、人生の表も裏も知り尽くし、たどり着いたのがトム・ウェイツ。しわがれ声の放蕩ブルース・シンガーのもと。そこから音楽の道へ。このアルバムはジャズ的なアプローチに彼女独特なブルース感覚をうまくマッチさせた秀作です。この甘ったるい声からは想像できないヴィジュアルも売りかも。落ち着いて聴ける大人のブルースです。

2008年2月18日(月)
甘く大人の香り 〜 Promise / Sade

1986年と、もう20年以上も前の作品。シャデーの2枚目のアルバムのこの”Promise"は彼女の人気を決定付けた傑作。インドの香り漂うイキゾチックな容姿に、ハスキーにくぐもったような独特な声。当時には珍しくちょっとマイナーな曲調とアレンジは異色な存在として一気にメジャーなミュージシャンに駆け上がった。その後の作品も、いずれもクオリティーが高く、はずれがありません。先日、ビデオ・クリップで彼女の近映を見てびっくり!。ちょっとヴォリューム感が出てはいたけど、昔のままの妖艶さ。20年以上経っているのに・・・ちょっと怖い。

2008年2月13日(水)
知的なニューヨーク・サウンド 〜 The Sea / 西藤大信

去る2月8日の夜、清里のブルー・パブ・レストラン「Rock」で熱いジャズを聴かせてくれたニューヨーク在住のギタリストNobuこと西藤大信君の最新アルバムです。南国、宮崎出身の素朴な一面とバークリー音楽院卒の知的な面がニューヨークという洗練されたジャズ環境で磨きをかけられ、ホットでクールな音に仕上げられています。先日のライヴでも心温まるアコースティックなナンバーと躍動感あふれるアグレッシヴなナンバーが、本場ニューヨークのジャズ・バーへ誘ってくれました。また日本人ギタリストの新星が現れました!
また八ヶ岳で熱いライヴを聴かせてください!

2008年2月8日(金)
アイスランドの冷たいサウンド 〜 Sigur Ros / Hvat - Heim

アイスランドというヨーロッパの片隅にある小さな島国から、最近多くのミュージシャンが世界に飛び出している。ビョーク、ムーム、そしてこのシガー・ロスはこの小さな国を大きく知らしめた存在である。中でもこのシガー・ロスはすべての楽曲を母国語で歌っていながら世界中で受けている唯一無二の存在でもある。英語以外の音楽を聴かないというアメリカでも彼らは売れているのだ。このアルバムは彼らの最新作であり、初のライヴ盤とこれまた初のベスト盤の2枚組である。とりあえずシガー・ロスを聴いてみようと思う方にはお勧めかも。ふわーっとした浮遊感漂うサウンドに繊細なヴォーカルがからんで、「アイスランドってこんな感じの国なの?」っと思わせる独特な雰囲気を楽しめます。雪の降る夜に聴いてみてください。

2008年1月23日(水)
渋い!只者ではない、このオヤジは 〜 Al Kooper / Black Coffee

2年前、30年ぶりだか40年ぶりだか・・という久々に出た、アル・クーパーの新作。アル・クーパーと言えば伝説のミュージシャンで、まだ音楽活動をしてたんだ!と言ってしまいそうなほど伝説でした。やはりこれまでに大病を患い、再起不能とまで言われた時期もあったようです。で、この作品、「お見事!」の一言。レイドバックしたいなせなブルースに、抜群の歌唱力を見せつけるバラード、どれを取っても超一級品です。さすが、「伝説の男」、偽りはありません。ここ数年に聴いた歌ものCDでは最高に好きな作品です。

2008年1月20日(日)
オシャレすぎる選曲のコンピです 〜 Saravah Jazz / V.A.

なんとも洒脱でオシャレで・・・同じか?な選曲のコンピレーション・アルバムです。このサラヴァというレーベルがどんな音にこだわりがあるのか下情報は全くなしに、選曲が松山晋也と聞いてピーんときて買っちゃいました。そしたらこれがすごく良いのです。サンジェルマンの香り、一癖も二癖もあるフレンチ・ジャズのオンパレードです。ピエール・バルー、フランシス・レイ、ブリジット・フォンテーヌなど怠惰とエロス漂う世界へ誘います。「あ〜、もう何にもやりたくな〜い!」ってな時、これを聴いてもっとダメになってみてください。でも、こんなコンピ、ボクも作ってみた〜い。

2008年1月14日(月)
王道とはこう言うことか!? 〜 Radiohead / In Rainbows

彼らが次に何をするのか・・・、彼らの動向が世界中のロック・ファンを動かすと言っても過言でないほど、良くも悪くも影響を持ってしまったモンスター・バンド。前評判では「歌ものへの回帰」と聞いていたが確かにこれまでの作品とは違い、バンド・サウンドに拘った感じは受ける。しかしその分、今回の作品における彼らのオリジナリティが見えにくくなっているのも確か。個人的には、「キッド A」や「アムニージアック」などの実験的な路線に魅力を感じていたので少々残念ではあるが、それでも十分聴きごたえのある作品になっているのは流石である。分りやすさで勧めるならば、このアルバムが彼らのベストなのかも。

2007年12月24日(月)
隠れた名曲「クリスマスの扉」 〜 須藤 薫 / DROPS

須藤 薫、1979年デヴュー。当初から松任谷夫妻、杉真理らにサポートされ注目のヴォーカリストとして、80年代数枚の名作アルバムを世に出している。これは彼女の5枚目のアルバム。クリスマス・イヴにはこの杉真理作曲の「クリスマスの扉」がボクにとっては定番です。彼女はこのアルバムを83年に発表してからしばらく活動を休止。87年にふたたび「Hello Again」で復活。この時初めて彼女のライヴに行きました。その時の感動はいまだに忘れられません。デヴュー・アルバムからこの6作目まではどれを聴いても名作ぞろいです。先日、紙ジャケで再発されたのでぜひ聴いてみてください。

2007年12月21日(金)
本年度ベスト・アメリカン・ロックCD 〜 Joe Henry / Civilians

ミュージック・マガジン年末恒例の企画「2007年ベスト・アルバム」のアメリカン・ロック部門で堂々の1位がこの作品です。でも多くの日本のリスナーには馴染みがないよね。国内版は出たんだっけ?しわがれた声になんだか霧がかかったような独特な空気感を醸し出し、one&onlyな作風はいつも変わらない。曲調はブルースとフォークの混ざり合った、ニューヨークやシカゴなど大都会の場末を想像させる。このジョー・ヘンリーと言う人、日本ではなぜか評価が低い。日本でも受けると思うんだけどな・・・・。個人的には前々作「Scar」に打ちのめされたので、この新作からの衝撃はさほどではなかったけど、未体験の方はぜひこの機会に聴いてみてください。

2007年12月18日(火)
スケールの大きなガレージ・ロック 
〜 くるり /  ワルツを踊れ Tanz Walzer

洋楽比率98%のボクのCD・シェルフの中で、着実に枚数を増やしているドメスティック・バンドの一人。彼らの音の中には世界を十分にうならせるだけのオリジナリティーと新しさがある。それが今回はまた世界を意識してか、音楽の都ウィーン・レコーディングである。オーケストレーションをふんだんに盛り込み、スケールの大きな作品にできあがっている。分りやすく表現するなら「ウィーン・フィルをバックに歌う奥田民生」かな・・・(ちょっと乱暴すぎる?)最初から最後まで、新鮮な「驚き」を持って聴ける傑作です。

2007年12月11日(火)
日本が誇るインスト・ロック 〜
 toe / the book about my idle plot on a vague anxiety

ジャケットの鹿?の写真が可愛いよね。でも内容は荒々しくも美しいインスト(ポスト)・ロック。日本の若者4人による世界へ向けた音だ。ギターの物悲しい旋律のループの上を、これでもかと言うほど荒々しくリズミカルなドラムがうねる。モグワイの持つ抒情感を一瞬のうちにクライマックスに持ち込んだようなスピード感はなかなかのものです。日本には他にもmonoなどもいるけど、爽快感はこっちのが上かな。全編聴き終わった後で、もう一度このジャケットを見てみてください。このまっすぐに見据えた鹿の横顔が凛々しくさえ思えます。
ドラムが好きな方、一度聴いてみてください。

2007年12月7日(金)
今年聴いたベストなジャズ・アルバム 〜 Elizabeth Shepherd Trio / Start to move

今年もあと3週間ほどで終わり。そろそろ「今年のベスト・アルバム」なんて企画が各音楽雑誌を賑わすころです。それに先駆けて、まずボクの今年一押しのジャズ・アルバムを紹介します。カナダはトロントから届けられた実に正統派でありながらワクワクするジャズ・トリオです。ピアノ、ベース、ドラムそしてヴォーカルと何とも個性の出しづらい編成でありながら、これだけグイグイと引き込むことのできる一因はやはりエリザベス・シェパードの歌のうまさと編曲力にあると思う。スタンダードの「Four」や「Melon」なども見事に彼女らしく味付けられてとても新鮮な響きに聴こえます。ジャズ・ファンに久々の「おもしろい」プレゼントになるのではないでしょうか。

2007年12月3日(月)
ちょっと土の匂いがするジャズ 〜 Floratone / Floratone

先日出たばかりの新譜です。このFloratoneが、どんなバンドかは音楽専門誌に任せるとして、内容がすこぶる良いのです。ドラムとベースそしてギターのハーモニックスがノイズのループの上をうねる感じで流れ、管楽器がテーマを淡々と奏でる。なぜか土くさく感じるのはギターのBill Frisellの郷愁を誘うような独特なフレージングによるものか。全体的にとても音が良く練りこまれていてちょっとトータスあたりのジャズの解釈に似てるような、そう感じるのはボクだけかな・・・?

2007年11月28日(水)
陽だまりで聴くLooseなGroove 〜 Tommy Guerrero / Return of The Bastard

元プロ・スケートボーダーという異色な経歴を持つトミー・ゲレロ。ギター1本でハワイアンともスパニッシュとも言えない不思議な雰囲気をかもし出すOne & Onlyな存在。一時期はヒップ・ホップに近い路線にも傾倒したが、このアルバムのタイトルどおり、Returnしてデヴュー当時のギター・グルーヴに戻っている。タイトルのBastardは彼のデヴュー・アルバムのタイトルに由来する。これまで様々なスタイルで10枚以上のアルバムを出しているが個人的にはこの作品、ベスト3に入ると思う。
けだる〜い午後、ビールを片手に聴くには最高でしょう。

2007年11月27日(火)
「甘〜い」ひと時を演出するフレンチ 〜 Yann Tiersen / L'Absente

映画「アメリ」をご覧になりましたか?現実と空想の間を行ったり来たりの甘〜いファンタジーでした。この映画のバックで流れるフレンチ・アコーディオンの夢見心地な音世界。それを作っているのがヤン・ティルセンです。この作品は「アメリ」でお馴染みの、軽やかな曲があり、また逆に哀愁を帯びたしっとりとしたシャンソンありで、実に多彩です。行ったことはありませんが、パリの街の中を彷徨い歩いているようなそんな気持ちにさせてくれます。アメリカ、イギリスのポップスに飽きた方、甘〜いフレンチはいかが?

2007年11月14日(水)
なんと「イーグルス」新作です! 〜 Eagles / Long Road Out Of Eden

イーグルスの新作を聴きました。実に前作「Hell Freezes Over」から13年ぶり(新曲は4曲のみでちょっと同窓会的作品だったけど・・・)だから、またまた同窓会?と思ったら、これが全然「マジ」な新作なのです。それもたっぷり2枚組。中身は本当に最高!!です。彼らの最終作「Long Run」の頃のクオリティーが聴けます。進歩がないと言えばそれまでですが、でもイーグルスはこれでいい!と納得させてしまうできです。メンバーはドン・ヘンリー、グレン・フライ、ティモシー・B・シュミット、そしてジョー・ウォルシュの4人で今回、ドン・フェルダーの泣きのギターが聴けないのが少し残念ですが、メロディー・メーカーの4人が存分に力を発揮しています。「今さらイーグルスかよ?」と思ってるあなた、絶対に買いです。

2007年11月13日(火)
アシッド・フォークとでも言うべきか? 〜 Devendra Banhart / Cripple Crow

リクエストがあったので書きます。実はボクもこのデヴェンドラ・バンハートはこのアルバムが初体験で、またこれ以外は聴いたことがないのでこの「Clipple Crow」のことでしか書けないのですが・・・。一言で言えば、「アシッド・フォーク」ですよね。最近、ジャック・ジョンソンあたりの影響で、オーガニックな音楽が見直されているので、その流れか?と思えば、内容は全然異質なものです。天国と地獄ほどの違いかな。なんだか何者かに「とりつかれた」ように楽しげな歌声がドローンな生ギターの上でうねってるような曲のオンパレードで、何か突飛なものが聴きたい方にはおすすめです。ニュー・アルバムが出たようですが、ん〜っと手がでません。

2007年10月29日(月)
超絶技巧のギタリスト登場 〜 OzNoy / Oz Live
やはり自分がかじったことのある楽器というのがとても気になるもので、ボクの場合はギターなのです。「お〜!これどうやって弾いてるんだろう!?」なんて言いながらギターを持ち出しては、あーでもない、こうでもなとやるのが意外と楽しい。でもこの人のギターは、ギターを持ち出す気力を削ぐほどすごい。ジャンルはまさしくジャズ・フュージョン。ベースとドラムとの3ピースなのだが、ギターだけで3人いるような手数の多さに圧倒されます。彼の新譜「Fuzzy」も聴いてみましたが、やはりこのライヴの方が臨場感があってお勧めです。Wayn Krantzが好きな方のは特にお勧めです。
2007年10月19日(金)
現代にも通じる名曲の数々。〜チューリップ / 日本

このジャケット、エキセントリックですよね。これだけ見たら、何だか右寄り思想のこもったものに思えますが、内容はその頃の時代を映し出したポップスです。この中の名曲「都会」は現代にも通じるとてもシュールなないようです。
「時をみつめもせず、ただじっと、涙に近寄らず、ただただ生きよう 中略 何も思わないで、ただじっと、情けに近寄らず、ただただ生きよう。 ぼくを責めないで、こんなぼくを、いつかなっていた、こんなぼくに。」感情を捨てて生きる現代人の姿を切々と歌ている。ほかにも名曲が数々。ぜひ聴いてみてください。

2007年10月8日(月)
ポールのソロ「最高傑作」! 〜 Paul McCartney / RAM

高校生の頃、初めてバンドを組み、学園祭で演奏したのがポール・マッカートニー&ウィングスの曲だった。当時は「ライヴ・イン・USA」が話題で、その中の何曲かをコピーしていました。当時を振り返って、ポールの古い作品を聴きあさっていたら、特にこの「RAM」のクオリティーの高さに驚かされました。1971年5月、正式にビートルズ解散直後、リンダと二人で作り上げたこの作品は、ジョンとヨーコのコラボレイトに対するポールの回答のごとくメロディアスでキャッチーな曲で構成され、実にポールらしい。
オリジナル・アルバムでは最後に収められている
「The Back Seat Of My Car」は珠玉の名曲です。ポールの曲を遡って聴きたい方、ぜひこのアルバムからどうぞ。

2007年9月30日(日)
雨の日をしんみりと"楽しむ” 〜 Ralph Towner / Anthem

雨がしとしと降りしきる午後。憂鬱な気分を振り払うなんてもってのほか。こういう日は、思いっきり雨の憂鬱を楽しんでしまえ!ということでご紹介するのが、ラルフ・タウナーのアンセム。ドイツのジャズレーベル、ECMは常に静謐な音を紹介してくれる。このアルバムはジャズというよりは、ニュー・エイジ作品といえるが・・。全編、ラルフのギター・ソロで編まれたこの作品はジャケットの写真そのまま、雨の日のしんみりした雰囲気に浸れる最高の一枚。秋雨の季節。しんみりと"今”に浸りたい方、ぜひお勧めです。

2007年9月21日(金)
秋空に似合うアメリカン・トラッド・ソング 
〜 Neil Young / Harvest Moon

秋になると聴きたくなるCDがいくつかある。このニール・ヤングのハーベスト・ムーンもその一枚。正しくハーベスト、収穫の時を讃えた彼の代表作だ。これは70年代に発表した名作「ハーベスト」の続編的な位置づけとして制作されたと聞く。ボクは両方持っているが、こっちの方がよりレイドバックして聴けて好きだ。ニール・ヤングはとても多作である上に、とんでもないほどに多才なので選ぶ時に情報は不可欠。のんびり聴こうと思って買ったらギンギンのロックン・ロールだったりするので注意が必要だ。
秋の抜けたような青空のもと、ビールを片手にしみじみするなら、まずこのアルバムがおすすめ。

2007年9月12日(水)
ジョー・ザヴィヌルのご冥福をお祈りします。 
〜 Weather Report / Heavy Weather

今朝の新聞の訃報の欄を見て驚いた。「ジョー・ザヴィヌル氏死去、享年75歳。」言わずと知れたジャズ界の巨星だ。フュージョンの一時代を築いたグループ「ウェザー・リポート」のリーダーであるだけでなく、あのマイルス・ディヴィスがエレクトリックへ変貌するきっかけとなった作品「In a Silent Way」の仕掛け人でもある重要人物でもあった。最近は、何の縁か雑誌「Z」の表紙を飾るなど元気な印象を与えていただけにショックである。ここで紹介した作品「Heavy Weather」は名曲「Birdland」を含むヒット作。今日は彼の冥福を祈り、一日中、ザヴィヌル・デイとしよう。

2007年9月11日(火)
「はなうた王子」と呼ばせていただきます。
 〜 Rufus Wainwright / Release the Stars

なんと2ヶ月のご無沙汰となってしまいました。どうも夏の間は、音楽を聴くまとまった時間がなくて・・・と、言い訳はこのくらいにして、ルーファス・ウェインライトを紹介します。実はボクもあまり興味がなく、この作品で初めて彼を聴いてみたのですが、これがなかなかすごい。全般的にミディアム・テンポの曲で流れるように構成されていてとても聴きやすい。この聴きやすさの秘密は彼の歌にある。「はなうた」を口ずさんでいるように、なんとも気持ち良さそうに歌っているのです。元祖「はなうた王」がデヴィット・バーンならルーファスを「はなうた王子」と呼ぼう。久々に出た自然体のメロディーメーカーの今後に大いに期待したい。

2007年7月10日(火)
多才な男と異才な男の競演 〜 Vincent Gallo / the brown bunny

ヴィンセント・ギャロ主演映画のサントラ盤である。俳優、映画監督、ミュージシャンと多才なマルチ・アーティストであるギャロが選んだミュージシャンが、レッチリのジョン・フルシアンテである。このアルバムの半分が彼の曲だ。このフルシアンテがすごい!妖気が漂うようなヴォーカルがびりびり来る。映画はまだ見てないけど、「バッファロー66」みたいにまたぶっ飛んだ内容なんだろうな。映画はさて置いても一枚の作品としてかなりクオリティーが高いできとなっている。
ぎゅっと魂を鷲づかみにされるような音です。

2007年7月2日(月)
ニュー・スタイル、ジャズと詩の朗読の競演 〜 Vijay Iyer & Mike Ladd / in what language?

昨年、ニューヨークに行ったとき、BlueNoteがさほどの人だかりでないのに、向えにある店に多くの客が並んでいた。聞くところによると、その店はポエトリー・リーディング詩の朗読の店だった。最近のニューヨークではこの詩の朗読が静かなブームのようで、有名なハリウッド・スターが読み手になったりすると、大変な人が押し寄せるそうだ。と、このアルバム。ジャズ・ピアニストのヴィジェイ・アイヤーと詩の朗読のマイク・ラッドの競演が収められている。詩の内容は、ある空港でイラン人の映画監督が受けた不当な仕打ちを題材に物語が構成されている。途中様々な効果音を交えながら、詩の朗読は続き、センスのいいジャズ・ピアノが全体を引き立たせる。このアルバムは「ミュージック・マガジン」2003年ベスト・ジャズアルバムに選ばれていました。ジャズ・・・と言うとちょっと?だけど、これはこれで面白い作品です。

2007年6月26日(火)
日本のフュージョンを変えた1枚 
〜 渡辺香津美 /  KYLYN LIVE

今聴いても胸がゾワゾワっとするカッコいいライヴ。今をときめく日本の音楽界の錚々たるメンバーが集結した渡辺香津美率いるスーパー・フージョン・バンドKYLYNの1979年、六本木PIT INでの演奏。メンバーの名前を挙げただけでもすごい。YMO結成前夜の坂本龍一、矢野顕子、村上ポンタ修一、サディスティック・ミカ・バンドの小原 礼、トロンボーンはボクの高校の先輩、向井滋春、トランペットは最近バッハをやって大御所となった清水靖章、CMやドラマの主題曲などで有名な本多俊之などなど、ここから日本の音楽界が動き出したと言っても過言ではないメンツだ。全体的に荒削りではあるが、スピード感溢れる演奏が当時のエネルギーを感じさせてくれる。

2007年6月19日(火)
シカゴ・サウンド、これ一枚?で
  〜 Tortoise / A Lazarus Taxon

最近は少し静かになった観のある「シカゴ音響系」音楽の中心的存在であるトータスの最新作、と言っても過去の未収録テイクをまとめた企画盤である。CD3枚とDVD1枚の4枚組のBOXセット。「シカゴ・サウンドとは何ぞや!」と言う方にはお勧めのお買い得商品。CD3枚はどれも聴き応えある70分前後の長尺録音で全部聴いてるうちに半日を費やしてしまうほどのヴォリューム。音的にはすべてインストでジャズとロックの中間・・・て言うととてもいい加減な表現かもしれないが、アコースティックな演奏に時折使われるエフェクトが、ジャズの流儀とは違った趣を持たせている。どんよりと曇った空を眺めながら、シカゴという混沌とした街を想像しながら聴くとおもしろいかも。

2007年6月9日(土)
これも一種の「天才」でしょ。 〜 Spencer Doran / Puzzles

音楽を創る作業には様々であるが、これも一種の創造的作業と言えるだろうとボクは思う。所謂、DJである。過去に世の中に吐き出された無数の音源から、小さな音の粒を丹念に拾い上げ、それをアーティスティックに組み上げる作業だ。「これはただの盗作だ!」と言う人も未だに多いかもしれないが、天文学的な数のガラクタの中から拾い集めることだけでも大した才能である。そしてそれを意味あるものに並び代えるのも。その作業において、このスペンサー・ドランは「天才」である。この手のアルバムにありがちな、単調な4つ打ちビートやループ(単調な繰り返し)に陥らず、とても表情豊かな展開を聴かせている。おもちゃ箱を覗いているようなわくわくした曲調やメロディーの変化に、彼の非凡さがうかがえる。個人的見解だが、彼はDJ Krushを超えた才能の持ち主と言える。

2007年6月8日(金)
感想はひと言「耽美」
 〜 The Cinematic Orchestra /  Ma Fleur

以前にもこのコーナーで紹介した、シネマティック・オーケストラの新作が届きました。これまでの作品とは少し趣が変わり、とてもしっとりとした内容になっている。バンド名のごとく、一編の映画を観ているような叙情感溢れるできです。ピアノと繊細なヴォーカルに美しいオーケストレイションが絡み、聴くものを映画の情景に誘います。ジャケットの中には曲ごとの雰囲気をイメージしたポートレイ