上澤寺の縁起
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〔寺号〕上澤寺(じょうたくじ)  〔山号〕法喜山(ほうきざん)

文永11年(1274年)日蓮聖人が初めて身延山へ御入山せられた当時、上沢寺は真言宗の

大寺であった。又、小室山(鰍沢)には同じく真言宗で威勢を振っていた恵朝阿闍梨善智法印

がいて、たまたま日蓮聖人に法論を挑んだが敗れてしまい、一応、聖人に降伏したが、内心

では聖人を怨みひそかに亡き者にしようと考え、身延山の麓にある当上沢寺において、住職

法喜阿闍梨と謀り、毒を潜ませた萩餅を作って、一日、身延の西谷御草庵を訪ずれて聖人に

これを献上した。聖人は何気なくそばに現れた白い犬にこの餅をあたえられた。白犬はこれ

を口にしたが忽ちに苦悶して、ついにその場に斃れてしまった。恵朝と法喜の両名は、このあ

りさまを眼前に見て、聖人の威徳と法華経の利生を悟り、自分の邪心を深く懺悔謝罪し、改め

て聖人の御弟子に加えさせていただきたい旨を述べ、許されて恵朝は日伝の御名を授けられ

小室山の開祖となり、法喜は日受と名づけられて当上沢寺の開祖となられた。

 しかして当寺の日受上人は、この白犬は「法華経の行者たる日蓮聖人」を守護するために、

諸天善神が白犬に化身して聖人の身替りとなったのであることを悟り、上沢寺の境内に手厚

く葬られた。また日蓮聖人はこの白犬をあわれみて、身延山へ御入山の折りから、御手にせ

る銀杏の杖をその塚の上に墓標として樹てられた。不思議にもその杖はいつしか根が生え、

枝を伸して今日見るような大樹となっていったのである。現在、聖人の身替りとして斃れた白

犬は「法華経行者守護の開運白犬大善神」として祀られている。
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