モバイルギヤ(MG)のDOS化 
(1999年5月 著)



1、昔の話

 私が入社した当時は、まだパソコン(PC)などと言う物が無い時代でした。有るのは大型コンピュータ(大型とは言っても、現在のPCほどの性能も無かった)と装置の制御用ミニコンピュータ(ミニコンと言った)でした。入社したての頃最初にさわったのがこのミニコンで、名前は「ニアックM4」と言い、子供用の箪笥ほどの大きさでした。

 M4の全面には8個の押しボタンスイッチとエンタースイッチが有り、電源を入れた後にこれらのスイッチを使って8bitづつ紙テープリーダを動かすプログラムを入力するのが日課と成っていました、この作業には30分ほどがかかりました。その後紙テープに打ち込んである諸々のソフトを読み込ませ、仕事をさせていました。


2、ただの箱

 コンピュータはソフトが無ければただの箱です、これは誰でも知っている事ですが、ただの箱とはどういう状態か考えてください。昔M4へ紙テープから入力するためにスイッチを使って紙テープリーダを動かすソフトを8bitづつ手入力していました、これをしないと唯一の入力装置である紙テープリーダすら動作しなかったのです。

 PCでもソフトが無かった場合、キーボードからの入力も出来ず、FDもCDも何も動作しません。ウインドウズが駄目になった場合起動用FDを使って再インストールしますが、画面を良く見ているとマウスドライバーの登録・キーボードドライバーの登録・CDドライバーの登録、等々が表示されるはずです。(ドライバーとは各機器の制御用ソフトの事です:制御する者=ドライバー)

 本当はFDも動作しないのですが(もっと基本の部分も動作しない)、これではまったく手の打ち様が無いので、本当に基本となる部分のソフトをROMで搭載しています(M4で手入力した部分を回路で組んだようなもの)。この基本となる小さなソフトを「BIOS:Basic Input Output System」といいます。


3、ソフト共通化の話

 生物が4個の核酸からなる遺伝子で設計され生きている様に、PCは1と0の2個の数字で動作します。当然PCへの命令であるソフトは1と0の連なりと成っています、これをマシンランゲージ(機械語)と言います。この機械語はハードに依存するのでPCによってそれぞれ異なります。

 人型ロボットを歩かせようとした場合に、”右足を前に出す、次に左足を前に出す、その次に右足を前に出す・・・・”と言う様な命令書を作ったとします、これで犬形ロボットを歩かせ様としても駄目です。犬形の場合は”右前足を前に出して、次に左後ろ足を前に出して、その次に左前足を前に出して・・・・”と言うような命令にしないと歩けません。これがもし”歩け”と言う命令ですむとしたら、その命令書は人型でも犬型でも共通に使うことが出来ます。同じ事がPCでもあり、この”歩け”と言う命令で”右足左足・・・”とPCを操縦(オペレート)するソフトが出来ました、このソフトのことを「オペレーティングシステム(OS)」と言います。

 OSには、「Windows」「MacOS」「UNIX」等があります。


4、マイクロソフト社製OSの歴史

 当初マイクロソフトはBASICなどの言語処理系のソフトメーカで、OSを持っていませんでした。PCのOSとして最初に有名に成ったのは20年ほど前のサテル社製のCP/Mです。その頃マイクロソフト社にIBMからOSの極秘開発依頼があり、短納期での開発依頼のためCP/Mをまねて作ったのが(これは噂であり、本当はまねてはいないと云う)「ディスクオペレーティングシステム(DOS)」です。

 最初DOSは、IBMのPCのみに実装されていましたが、そのうちIBM以外のPCにも実装されるようになり、マイクロソフトのDOSと言うことで、MS−DOSと呼ばれるように成りました。

 DOSが発展してウインドウズに成りました。(DOSの上にウインドウズ乗っている思っても良い)したがって、PCはHWの上にBIOSが乗り、それにDOSが乗って、さらにその上にウインドウズが乗っていて、さらにその上にワープロ等のアプリケーションソフトを載せて使用しています。


5、モバイルギヤの構成

 私が一番最初に購入し、BASICの勉強をするのに世話になったPC-8000MR2は搭載RAM32kB(0.032MB)外付け記憶装置がテープレコーダで200bit/sで転送していました。ボーナスで外付けFDドライブを購入し(そのころ20万円もした)620kB(0.62Mです、1.4Mでは有りません)の5インチFDに、それまで集めたゲームソフト百数十本が全部入った時の感動は今も忘れられません。
 
 MGもPCの一種で昔の大型コンピュータ程の性能が有ります、搭載RAM8,000kB(PCカードで52,000kBまで増設できます)モデムと赤外線インタフェース内蔵、等々凄いですね。私の今使っているPCは、搭載RAM512,000kB、HD150,000,000kBと昔のスーパコンピュータ以上です。

 モバイルギヤの構成は、BIOSの上にMS−DOSが乗り、その上にUniShellと言うモバイルギヤ独自のOSが乗っています、各アプリケーションはその上に乗っているわけです。

 したがって、MGのDOS化とは、上に乗っているUniShellを停止させ、DOS上でアプリケーションを動かすことをいいます。なぜそんな事が必要かと言うと、UniShellはモバイルギヤ独自のOSで,使用できるアプリケーションソフトが少ないからです。(DOSで動くアプリケーションはPC用がいくらでも有ります。)


6、MGのDOS

 MGのDOSはUniShellを載せるための土台として入っているので、必要最小限の構成と成っています。そこでDOS化には別途ドライバ等が必要になります。

 

7、DOS化顛末記

 職場のFさん(7L2VTX)に「MGにハムログを載せて移動で使用したいのでDOS化する」と言う話を聞き、これはおもしろいと思いDOS化への挑戦が始まりました。(ハムログとは、アマチュア無線の交信記録をPC上で行うソフトです。)
 
 インターネットを検索しMGのDOS化の情報を集めまくりました。世の中には物好きな人が沢山いて、MGのDOS化手順とフリーソフトが沢山ありました。いろいろ調べてみると、最低以下のソフトが必要であるらしい事が分かりました。

   1)UniShellを終了させてDOSのCOMMAND.COMを起動するソフト
   2)日本語表示ドライバー
   3)DOSでMG内蔵日本語変換ソフトNECAIを動作させるソフト

 必要なソフトをインターネットでダウンロードして、MGにインストールしDOSに降りたのですが、インストールしたソフトが見あたりません、さっぱり判らずFさんにメールで救いを求めました。実はドライブがA、C、D,I、Jと5個も有り、私がインストールしたPCカードはAドライブらしいのですが、私はてっきりCドライブだと思い込みCドライブを探していたのが原因でした。

 すべての設定がうまくいき、DOS化に成功しました。ところが、私にはDOSのソフトが一つも有りません(
ハムログも無いのですよ)私はいったい何のために苦労してDOS化をしたのでしょうか・・・?


おしまい。


 

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