TCP/IP プロトコル
(2001年10月 著)


 

1.プロトコル

 インターネット(コンピュータネットワーク)は情報機器(コンピュータ)を伝送メディア(通信回線)で相互接続したものです。通信回線で通信を行うには、まず通信の方法を決める必要があります。この通信の方法を規定した物を「プロトコル」と言います。


2.パケット通信

 昔々、通信の始めには通信する2者間を一本の電線で接続して情報のやり取りをしていました。時を経て電話回線網が発展した段階でも、通話の前にダイヤルを回して回線の接続を確立して物理的に一本の電線で接続したのと同じ状態を作っていました。これを「回線交換方式」と言います。送受する情報が有ろうが無かろうが(双方が無言の時間も)一回線分を占有していました。

 通信回線がディジタル化されると、情報を断片に分割して(小包として)送受することが可能となりました。この断片(小包)に宛先を書いた伝票(ヘッダーと言います)を付けることにより回線を占有する必要が無くなりました。これを「パケット通信」またはパケット交換方式と言います。 これにより、従来は信号に宛先が無かったので予め通信回線を一対一に接続しておかないと情報の送受が出来なかったものが、情報の断片にそれぞれ宛先を記入することにより、宛名を見ながら情報を目的の所まで送ることが出来るようになり、予め通信回線を一対一に接続しておく必要が無くなりました。また、一本の通信回線に別々の宛先の情報を流せることが出来るようにもなりました。


3.プロトコルの階層

 小包をY工場からZ工場に送る場合、Y工場の担当者は運輸伝票を書いて(付けて)運輸部門にわたします。運輸部門は宅急便業者に委託してZ工場まで搬送してもらいます。Z工場では宅急便を運輸部門が受け取り、受取担者人にわたします。この場合、Y、Z両工場の担当者は、運輸部門での小包発送受け取りルールと宅急便業者の小包搬送ルールを知る必要がありません。これはそれぞれのルールが階層化されていて、上位の階層からは下位の階層を無視することが出来るからです。このメッリトは宅急便に「クロネコ大和」であろうが「佐川急便」であろうが、簡単に使うことが出来るところにあります。「クロネコ大和」と「佐川急便」では、小包の搬送ルールが異なりますがそのルールは下位の階層として閉じたものに成っているので、上位の階層である小包を送る人には関係のないことになります。

 通信のルール(プロトコル)にも全く同じ事が言え、階層化がなされています。


4.インターネットのプロトコル

 通信のプロトコルはOSI参照モデルに準拠しています。OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルはISO(国際標準化機構)が策定した開放型(通信)システムの相互接続に関する、ネットワーク・アーキテクチャの標準で、プロトコルを7つの階層に分類しています。

 インターネット(コンピュータ通信)もこの7つの階層に準拠していますが、インタネットとして特徴的なプロトコルは第3層(ネットワーク層)と第4層(トランスポート層)です。ネットワーク層のプロトコルがIP(internet protocol)、トランスポート層がTCP(transmission control protocol)です。


5.TCP/IPプロトコル

 IP(インターネットプロトコル)は先ほどの小包で言うと宅急便屋さんのルールです。送り元の住所、送り先の住所、宛先不明の場合の処理などが決められています。住所をIPアドレスと言います。IPの場合宛先不明の場合は小包(パケット)を捨ててしまいます。

 TCP(通信制御プロトコル)は先ほどの小包で言うと運輸部門のルールです。荷物の送受担当者の識別(ポート番号で行う)、荷物の送受順序、受け入れ検査、受領確認などの処理が決められています。

 宅急便屋さん(IP)は小包を相手の住所地まで届けますが、小包の順番(先に送った物が後で届くこともある)、最終受け取り担当者までは面倒を見ません。小包(パケット)本来の受け取り順番と受け取り担当者、また受け入れ検査は運輸部門(TCP)の仕事になります。受け取った小包に間違いがないか受け入れ検査をし、本来の順番に通りに担当者にわたします。


6.IPアドレス

 小包(パケット)を送るには、住所が必要です、IP(IPバージョン4)ではこのアドレスを32bitで表すようになっています。32bitですから2の32乗=約42億9千万を表すことが出来るように成っています。しかし、インターネットが世界中に広がり、接続されるコンピュータの数が増えると、この数ではアドレスが全く足りなくなってしまいました。

 そこで、各企業内等の閉じた通信回線網内ではローカルアドレスを使い、インターネットに接続する場所でローカルアドレスと、インターネット本来の割り当てられたアドレス(グローバルアドレス)を変換する方法がルール化されました。これによって一つのグローバルアドレスを多数のコンピュータで利用できるようになりました。これを「NAT(Network Address Translation)」と言います。ただし、NAT(ナット)の場合はローカルアドレスとグローバルアドレスを一対一に変換するので、インターネットに同時に接続できるコンピュターの数が割り当てられたグローバルアドレスと同数となります。これは、第3層(レイヤ3)までしか対応していないといえます。

 これに対して、第4層(レイヤ4)まで対応した方法にIPマスカレード(Masquerading)があります。IPマスカレードはIPアドレスの変換に加えポート番号の変換まで行うことにより、一つのグローバルアドレスに複数のプライベートアドレスを対応させることが出来ます。つまり、割り当てられたグローバルアドレスが一つでも、同時に複数のコンピュータをインタネットに接続することが出来ます。


7.家庭内LANの構築

 以上から家庭内LANを構築する場合、IPマスカレード機能を持ったルータを設置する事により、ISP(インターネット・サービス・プロパイダー)から一つしかグローバルアドレスしか割り当てられなくとも、複数のコンピュターから同時にインターネットに接続をすることが出来ます。


8.蛇足

 現在、IPv4(IPバージョン4)からIPv6(IPバージョン6)に変更しようと言う動きがあります。IPv6ではアドレスを128bitで表します。128bitですから2の128乗=約34兆の一兆倍の一兆倍と言う途方もない数に成ります。こうなるとNATだとかIPマスカレード等という変な機能は不要となり、かつ電気製品全てにIPアドレスを割り振り、通信回線で接続出来ることになります。

おしまい


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