陶アトリエ


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出かけるとき持ち歩くリュックにいまは、『孤独の発明』(ポール・オースター)、『時を青く染めて』(高樹のぶ子)『陶芸の釉薬』(大西政太郎)が入っている。ポール・オースターの文はクールだ。いっけんそっけなく感じられる短い文章が、私の感情の束にはさわりがいい。そんなわけで、ニューヨーク・トリロジーに続けて読んでいる。男の文もいいけれど、やっぱり女が、何をどう感じていて、ともすれば激しくなりがちな思い込みとどうつきあっているのか、てなことも知りたい。干刈あがたを読んでいた頃もあったが、書き手のつらさが本当によく伝わってきて、どうかすると読んでいるほうも身動きがとれなくなってしまう。(それにしても彼女の本がもう読めないのは残念だ。新しい本がでたら、「このごろはどうお?少しは気持が楽になってきた?」って尋ねる気持で、ページを開くこともできるのだけれど)そんなわけで最近は、もっぱら電車の釣り革につかまって読める軽い本、『ため息つかせて』(T・マクミラン)、藤堂志津子、鷺沢萠などの文庫本をリュックに入れている。荻野アンナも読みかけたが、どうも進まない。でかな?だれか「すっごくおもしろいよ」って背中をポンと叩いていってみてくれませんか?

ところで長い長いあいだやりたいと思っていた、粘土いじりをこのたび始めました。新聞の折り込みに陶芸教室の案内をみつけて、行ってみたのです。自転車で10分くらい、大山崎の聖天さんのそばに、そのアトリエがあります。週末の半日を、そこで粘土をいじりながら過ごしています。そうやっていると頭の中(ろくでもないことばかりがつまっている)がからっぽになって気持がいいんです。で、うわぐすりの本というわけ。
さて、こうして書いてみると、いかにも楽しそうな毎日を送っているように見えるかもしれません。が、私にもいろいろ悩みはある。げんに仕事(予備校)のストレスから、いっとききつくなりかけていたズボンがまたゆるくなっちゃった。
非常勤でやっていくって、結構大変なんだ。去年なんかいくつ履歴書出したかな。面接用に黒のパンツスーツも買ったし。新聞の求人広告も欠かさずチェック。でもね、経験が多いってのは、雇う側からすれば高くつくから非経済的なわけ。もちろん「40才以上に限る」なんてあるわけない。やれやれ。

「やれやれ」とくれば、村上春樹ですね。最近またもや売れているらしい『やがて哀しき外国語』読みましたか?その中に学生結婚した奥さんとの話が出ていた。ジャズ喫茶をふたりで7年間経営し、その後の12年間は彼の原稿料で暮らしてきた、という。『初めの頃はときどき、うちの奥さんはそのことについて文句を言った。こんな風にあなたの収入だけで食べているというのは間違っているのではないかと。そう言われてみればたしかにそうかもしれないと僕も思う。でもこんな風にも思う、「そういうのは結局のところ人生の巡り合わせなのであって、もし何かの加減でまったく逆のことが起こったとしても、とくに不思議はなかったんじゃないか。そういう風に考えていけば、それは男とか女とかの性差以前の問題ではないのか」と』なるほど、そういう風に考えればいいのか。ところで村上春樹を読んでてふと、これ私のパートナーと似てる、って思うことがある。たとえば『僕は終始一貫して「自分は自分、他人は他人」という考え方で生きている....』っていうところ。そういう風には、私はなかなか考えられないのです。


43才の日記

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