メディア掲載









2001年10月
Mail Magazine「epoka」(2001.12.15)

Mail Magazine「zekt」(2001.11.11)



エポカzekt
★Knowledge★
陶芸界の姉御が斬る!
陶芸家 渡辺和枝さんが語る
今週の格言「土・火・水は「ワタシ」をさがす心地よい旅の道連れ」

“自分とは誰なのか”を子供の頃から問い続けています。その答えは、自分の頭
のなかにはないことに気がつきました。それはきっと、人々と出会って笑みをか
わし、言葉をやりとりするなかで、感じられるものなのでしょう。私にとって
その旅路には、土・火・水がかけがいのないものに思えるのです。

焼き物で生計をたてようと頑張っている人は、たくさんいます。しかし、なかな
か売れませんから、クラフトフェアなど、各地に出かけて「行商」をしている人
が多いようです。なかには本当に「清貧」の生活を送りながら、ものづくりをし
ている人も少なくありません。

陶芸家として自立し続けていくということで大切なのは…。

人々の関心や、どうしたら人が自分の作品に目を向けてくれるか、いつも意識し
ながら、自分が何を表現したいのかを考えるように心がけています。
なかなか儲かりませんから、生活の糧をいろんなかたちで得る心づもりと、その
ための技術的な準備が必要でしょう。
仕事はなかなか来ませんので、こちらから捕まえにいきます。それでも、なかな
か捕まりませんから、作品を持ってお店においてもらえないか、直接お願いに出
向いたりとここでもやはり人に見ていただき買っていただく努力、つまり人との
コミュニケーションする力を鍛えることが大事だと思いますね。

河口湖湖畔の森の工房で、思いのままに、なんだか愉快な器たちをつくりません
か?と、ホームページなどで「土の造形教室」および「体験教室」へのお誘いを
しています。東京や横浜方面からグループ(2〜8名)で体験にいらっしゃいます。
K's 工房では、つくりたいもののイメージに合わせて、ひとりひとり、粘土や手
法を選んでいただいています。教室の作品は、K's 工房のホームページの「陶芸
教室」に展示しています。また、関東や関西でクラフトフェアなどにも出展して
いますので、皆様にお会いできると嬉しいです。年間スケジュールは、ホームペ
ージでチェックしてみてくださいね。

◆◇◆WHO?今週の姉御◆◇◆
英語の教師をしながら、土の造形に携わり始めて8年。去年、富士山麓に引っ
越し、土の道、制作、展示、販売、陶芸教室を行っています。
詳しくは、下記のホームページを御覧ください。

http://www.eps4.comlink.ne.jp/~kzkbo/
mailto:kzkobo@ep4.comlink.ne.jp

  クリエーターを目指される方に … creator's job …
  C ┃E ┃R ┃A ┃M ┃I ┃S ┃T ┃


  陶芸家 渡辺和枝さん(50才)が本音を語る… 

土の造形に携わられて8年。富士山麓にて、制作、販売、陶芸教室などに携わる
陶芸家の渡辺和枝さんに登場いただきました。
雑誌「BRIO」でも紹介されたK's 工房のお話など、表立って語られることが少な
かった陶芸家の世界をじっくりお話いただきました。ぜひ御覧ください。

近くのアトリエの陶芸教室で、自由に気ままに制作させていただいたことで
粘土で形をつくっているときの自分の「夢中」を発見しました。
また、出来上がった土の形は、人々に見つめられ、さわられることで人と人とを
つないでいくことも感じました。私にとっては教えることでむしろ鍛えてもらっ
た「ことば」の世界に加えて、「土の感触」が、コミュニケーションのツールに
なると実感したのでした。

土や布など、いろんなものづくりをやってみましたが、「土」という「触ること
ができる」基点を定めたことで、いろんなことに自分がどうコミットして、どう
いう道筋を歩いていくのか、見えやすくなりましたね。
逆に、素材としての土は、手触りはよいけれど、いかんせん重たい。大きな粘土
の固まりを練ったり、運んだり、ろくろでひいたりするのは、なかなかきつい
仕事です。展示の際も、作品やテントなど全部自分で運んで設営しなければなり
ません。でも身体の調子を見ながら、ゆっくり仕事のやり方などを調整して、じ
っくり続けていきたいと思っています。

英語の教師という仕事に携わりながら、土の造型をやりだして8年になります。
去年、富士山麓に引っ越してからは、土の道(制作、展示、販売、陶芸教室)で
何とかやっていこうと模索しています。今、気にいっている作品は、破いた粘土
板を張り合わせて、焼成後に帯状のアルミ板をはりつけた、黒い壁掛け花器「記
憶のバランス」や、上半分をろくろでつくり、下半分は粘土の固まりを彫って合
わせた花器「異を友とする」でしょうか。

現在は、思いのままに、オブジェな器をつくっています。作品には、たいがいタ
イトルをつけていますが、それは私が大切にしたいと思っている「ことば」や
「生き方」の断片をあらわしています。そうすることで、より具体的に人と出会
い自分自身と出会えるような気がするからです。

富士山麓に移り住むようになって、孤独であることが嬉しく感じられて、それは
「考えたり」「つくったり」するエネルギーになっていると思いますね。京都や
大阪での展示では、大勢の人たちが見に来てくださいました。いま、河口湖畔の
森で、私は毎朝だいたい4時から6時までインターネットで「土」のサイトをサ
ーフし、また自分の窯での実験的な焼成などをデジカメで撮影し画像処理をして
ホームページにアップしています。発信する、情報を探す、人に会いたくなれば
クラフトフェアなどヘテントと作品を車に積んで出かける。

体力がいりますが、作品は買っていただかないと前に進めません。
ちなみに今年は「イーストデビュー」と銘打って、新宿、松本、駒ヶ根、富士吉
田などで展示販売。そして、これからは関西へと出向く予定です。

ネットと陶芸の世界は異なる業界じゃないかというご質問ですが…。
バーチャルなコミュニケーションに、すぐに飛びついたわけではないんですよ。
でも、もともと「整理」することが好きでしたので、フォルダーにタイトルをつ
けて、自分の世界を分類していくというコンピュータの思想には納得できたんで
す。フォルダーを整理したら、データを使ってホームページを作成すると、今度
はインターネットにアクセスできる人であれば、誰でもそれがシェアできる。
興味がわけば、すぐにメールでコンタクトもできる。バーチャルな世界には、
「手触り感」がないと言われますが、発信したり、受信したり、コンタクトをと
ったりするには、「個人」の判断力が必要になるわけで、そこではむしろ自分に
とって刺激的な出会いの可能性を選択できるんじゃないかと思っています。

作品づくりの発想の元として、私は川べりの石ころや、水面の波紋、砂の感触…
外に出ると、ヒントはあふれるほど存在しています。だから、私はそれを感じる
時間を持つようにしています。

自分の心のありようが少しずつ見えてくるとか、焼き方や粘土の形を実験しなが
ら何かを発見し、そこからさらに好奇心がわいてきますね。また私の作品を買
ってくださったり、工房を訪ねてくださる人たちから、何かを学ぶ…。
そんな気持ちで仕事をして暮らしたいと思っています。

そして、人に受け入れられる「手触り」や「ふくらみ」のある形を作っていきた
いですね。器がそこにあると、なんだかいろんな人との出会い、器をめぐって物
語が続いていくような…。

この仕事を目指す方々に一言
この道ひとすじ…というよりも、あっちかな、こっちかなと体当たりしながら
何足かわらじを履く…といったいくつかのフィールドを跨いでで自分を鍛えてい
ったほうが、つぶれそうになったときに何かいいアイディアがひらめくかもしれ
ません。素材は土ですが、相手はあくまで人間ですから。
きちんと人とコミュニケーションができるように鍛えることが大事だと思ってい
ます。

▼渡辺和枝さんのホームページ、問い合わせ先▼
「河口湖畔の森の工房で、思いのままに、なんだか愉快なうつわたち」をつくり
ませんかと、ホームページなどで「土の造形教室」および「体験教室」へのお誘
いをしています。東京や横浜方面からグループ(2〜8名)で体験にいらっしゃい
ます。
K's 工房では、つくりたいもののイメージに合わせて、ひとりひとり、粘土や手
法を選んでいただいています。教室の作品は、K's 工房のホームページの「陶芸
教室」に展示してあります。また、関東や関西でクラフトフェアなどにも出展し
ていますので、お会いできるとうれしいです。年間スケジュールはホームページ
でチェックしてください。
E-mail=kzkobo@eps4.comlink.ne.jp
K's 工房 http://www.eps4.comlink.ne.jp/~kzkobo/

  【編集部の目】
zektでは始めてインタビューした陶芸家の渡辺さんに、聞きたいことがたくさん
あって、不躾にもいろいろ質問させていただいたのですが、とても丁寧にわかり
やすく答えてくださいました。
「素材は土ですが、相手はあくまで人間ですから。
きちんと人とコミュニケーションができるように鍛えることが大事だと思ってい
ます。」渡辺さんのこの言葉に、おっしゃる通りと感動。
モノづくりのプロは、相手あってこそのお仕事と改めて考えさせられました。
お忙しいところ、インタビューにお答えいただきましてありがとうございました。
編集部一同、渡辺さんのご活躍をお祈りいたします。(羽)




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