メディア掲載









2001年11月
「フジマリモ 2001.11.10」
地域情報紙(富士北麓・県東部・西東京.....63,000部発行)




自己表現の可能性追求

滑らかな曲線。微妙な色使い。土の風合い。目で、手の感触で楽しむことができる陶芸には、計り知れない表現の可能性を感じる。陶芸家、渡辺和枝さんも、そんな土の世界に魅せられた一人。
英語教師を辞め、昨年、住み慣れた京都から河口湖の大石ペンション村に夫婦で移り住んだ。自宅に隣接している工房で教室を開きながら、各地で展示会も開催している。
布染め、織物、紙細工。これまで沢山のモノ作りに取り組んできたが、中でも陶芸には「自分の夢中が発見できました」と芸術家らしいセリフ。素材や手法を変えることで全く異なる趣に仕上がる奥深さ。一方で、思いがけない出来映えのものが生まれる「偶然の楽しみ」が味わえるのも魅力の一つだそうだ。

作品のタイトルには「自分の生き方や考えの断片を表したい」と言う。そんな渡辺さんの自己表現に対する姿勢には、若い頃の渡米経験が土台にあるのだろう。自分の思いを積極的に発言する海外の人々の姿は、当時の渡辺さんには新鮮で良い刺激となって受け入れられた。今では「言葉」と「作品」、双方を表現の手段として用いて、自分の思いを大勢の人に語りかけている。
例えば、「異を友とする」と名づけられたオブジェ風の花器がある。上半分はろくろで作製し、下半分は粘土の塊をくり抜き、それぞれをつなぎ合わせた作品だ。これには「異なる人同士がいかに距離を保って生きていくか」というメッセージが込められている。
ライフテーマは「自分はどう生きるのか」。同時に「人との関わりの中で、何かシェアできることがあるのではないか」とも考える。渡辺さんにとって、陶芸は沢山の人とのつながりを感じさせてくれる、かけがえのないもの。だからこそ「これからも作品を作り続けたい」そしてそれを通して「一人でも多くの方と出会えることを楽しみにしています」




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