2002年株主総会の東京電力からの回答

 平成13年度報告書の内容に関する回答。
 当年度の当社の水カ,火カ,原子カの各発電電カ量は,それぞれ,137億kWh,1218億kWh,
1215億kWh。また,他社からの購入電カ量は609億kWh,他社への販売電カ量は107億kWh。
 地帯間購入・販売電カとは,―般電気事業者間の電カ融通契約に基づき,購入または販
売した電カのこと。また,他社購入・販売電カとは,電源開発,日本原子カ発電など卸電
気事業者等から購入または販売した電カのこと。
 揚水式発電設備とそれ以外の水カ発電設備のそれぞれの減価償却費の合計額については,
当社では,減価償却費の算定は,資産の種類ごとに―括して行っており,個別の発電所ご
との減価償却費の算定は行っていない。なお,一括して算定された減価償却費を,電気事
業会計規則に基づき発電所ごとに配付した場合,揚水式発電設備に係る13年度合計額は34
2億円,それ以外は121億円となる。
 当年度における当社の揚水式水カ及びそれ以外の水カの発電電カ量は,それぞれ40億kW
h,97億kWh。
 建設中の発電設備の工事の進捗状況については,神流川発電所の一部や品川火カ発電所
1号系列など今後5年以内に運転開始を予定しているものは,すでに基礎・建物工事及び機
器据付工事を実施している。また,その他の発電設備も,今後,運転開始時期にあわせて
工事が本格化してくる。なお,今後の電気の需要は,緩やかながらも堅実な伸びが見込ま
れており,電源開発を着実にすすめていく必要があると考えている。
 有利子負債残高の減少額は,社債,借入金,コマーシャル・ペーパーの発行額及び借入
額の合計と償還額及び返済額の合計の差額であり,4361億円となっている。
 当年度の有利子負債残高は,負債から各種引当金等を除いた,9兆4251億円である。な
お,有利子負債残高に対する期中平均利率は3.11%であったが,昨今の金利の低下傾向を
反映して,今後の当社の平均金利は,徐々に低下していくものと見込んでいる。
 減価償却に際しての主な設備の耐用年数は,当社では,原則として法人税法に定める耐
用年数を適用している。主な設備の耐用年数は,原子炉,発電機などの原子カ,汽カ発電
関係の機械装置は15年,ダムは57年,変電関係の機械装置は22年,架空送電線路は36年な
どとなっている。また,13年度の当社の設備の減価償却費合計は,9169億円。なお,減価
償却費の年度の合計額は,附属明細書に記載している。
 発電設備の修理に係る費用については,その修繕工事が,通常の維持管理または現状回
復のためのものである場合は,金額の多寡にかかわらず,修繕費に計上。また,著しい機
能の増進または著しい使用可能期間の延長に該当し,金額が20万円以上である場合は,減
価償却資産として計上。
 使用済核燃料再処理引当金には,将来必要となる再処理費用について,現時点での合理
的に見積もられる必要額を積立てている。なお,再処理完了時には,再処理費用に見合う
額が取り崩されることとなる。また,日本原燃への当社の出資額は,会計上,関係会社長
期投資に整理している。なお,使用済燃料の保管に係わる費用は,再処理料金に含まれて
おり,再処理完了時に,使用済核燃料再処理引当金を取崩すとともに,再処理料金を費用
計上することとなる。
 使用済核燃料再処理引当金が増加した理由は,主として,当年度に,日本原燃との間で,
再処理料金が決められている使用済燃料の数量が増加したことなどによるもの。
 資源に乏しいわが国においては,使用済燃料は再処理し,回収されたウランやプルトニ
ウムを再利用することが基本となっており,当社では永久保管した場合の必要経費などに
ついて試算等を行っていない。
 一般管理費の内容については,一般管理費には,事務・管理部門に携わる従業員の給料
手当や退職給与金,事務・管理部門に係る賃借料・委託費などが含まれるほか,広告費を
整理している普及開発関係費も含まれている。なお,原子カ発電所における人件費につい
ては,原子カ発電費で整理。
 キャッシュフロー計算書を報告書に掲載することができないかとの点については,財務
情報の開示の充実という観点から,今後の課題として,商法改正の動向なども踏まえつつ,
検討していきたいと考えている。なお,当社では,すでに,証券取引法に基づき,連結の
キャッシュフロー計算書を作成し,有価証券報告書に掲載しているほか,インターネット
の当社ホームページ上でも閲覧できるようにしている。
 自社株購入については,当社においては,財務体質の改善が急務であることから,現時
点では,積極的に自己株式を取得する予定はない。財務状況等を総合的に勘案しながら,
将来の課題として検討していきたいと考えている。
 太陽光発電の余剰電カ購入契約については,当社では,従来から新エネルギーの普及拡
大に努めてきており,太陽光発電の余剰電力について,お客さまに販売している電カ量料
金単価と同額で購入するという最大限の協力をすでに行っている。したがって,現時点に
おいて,半永久的に同じ条件で契約更新を行うことは考えていない。
 また,太陽光で発電された電カの全量購入については,今後,このようなご要望が増え
てくるようであれば,その特性や経済性等を総合的に勘案しながら,どのような仕組みが
望ましいかを検討していきたいと考えている。
 太陽光発電設備からの電力を当社以外に売電する場合の制度的な準備は整っているかと
の質問については,太陽光発電は気象条件により出力が変動し,需要の変動に応じた発電
を行うことや当社からの給電指令に従うことは困難であるため,現段階では,そのような
電力を対象とした接続供給や振替供給を行うことは考えていない。
 FTTH事業のサービスエリアについては,同事業は設備投資額が大きいため,投資を早期
に回収し,事業を成功させるためには,当社設備をできる限り多くのお客さまに利用いた
だくことが何より重要。このため,当社では,需要密度の高い,東京23区からサービスを
展開することとした。
 有線ブロ―ドネットワークスとの提携については,現在のところ,提携に関する交渉は
行われていない。今後,申出があった場合には,提携の可否について検討していきたいと
考えている。
 業務のIT化については,太陽光発電の系統連系の申し込みは,配電系統図を用いた申込
内容の確認などが必要であることから,現時点では,インターネットによる申込は受け付
けていない。また,商法改正により,株主総会における質問状の送付や議決権行使などを
電磁的方法により行うことが可能となったが,こうした制度は,本年4月に導入されたば
かりであり,電磁的方法による通知や議決権行使の確実性の担保,議決権の二重行使の問
題など様々な課題があると考えている。したがって,今後,他社の状況や問題点の対処法
等を参考にしながら,検討していきたいと考えている。
 なお,株主総会のインターネット中継については,株主総会は,株主の方々だけにお集
まりいただき,その議決権を行使していただくという,株式会社の私的自治ともいうべき
場であるので,インターネットにより広く―般の方々に対して中継することは考えていな
い。
 取締役会への女性の起用については,当社では,人格,識見,能カ等を総合的に勘案し,
当社経営を任せるにふさわしい人物を取締役候補者として推薦してきている。当社取締役
としてふさわしい人物であれば,男女を問わず,候補者として推薦していく所存。
 当社取締役の原子力に対する考え方については,当社の取締役各氏は,原子カの重要性
に鑑み,安全性の確保を大前提として,今後とも原子力を着実に推進していくことに賛成
している。
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