2004年東京電力からの回答
【桝本副社長】副社長の桝本でございます。初めに浅川初男さまからのご質問にお答え申
し上げます。まず、原子力発電所で発生する使用済燃料につきましては、日本原燃の六ヶ
所再処理工場で再処理することを基本としておりまして、国内の再処理能力を上回る分に
つきましては、再処理するまでの間、中間貯蔵施設にて貯蔵することを基本方針としてお
ります。
 次に、原子力発電所において発生する放射性廃棄物でございますが、低レベル放射性廃
棄物のみでございまして、その処理につきましては、発電所内でセメント等により固型化
するなど、適切な処理を行った後、日本原燃の六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センター
に埋設いたしております。一方、使用済燃料の再処理によりまして発生する高レベル放射
性廃棄物は、ガラスと混ぜてガラス固化体にした後、再処理施設内の貯蔵施設に30年から
50年ほど冷却のため貯蔵いたしまして、最終的に地下300メートルより深い安定した地層
中に処分することといたしております。
 また、原子力発電所における放射性物質の管理につきましては、外部への放出に際しま
して、放射能レベルが法令の基準値を下回ることはもちろんでございますが、さらに、「
合理的に達成可能な限り低くする」との考え方に立ち、今後とも厳重な管理を実施してま
いります。
 次に、原子力発電所の廃止措置についてでございますが、我が国では、原子炉の廃止、
撤去に伴い発生する廃棄物のうち、放射能レベルがきわめて低く、放射性物質として取り
扱う必要のないものにつきましては、一般の廃棄物と同様に処分したり、再利用したりす
ることができるよう、その基準が現在検討されております。当社といたしましても、これ
が制度化されれば、この方針に沿って処分または再利用することといたしております。
 原子炉施設の解体撤去費用、および解体に伴って発生する放射性廃棄物の処分費用につ
きましては、毎年、発電電力量に応じまして「原子力発電施設解体引当金」として引き当
てを行っております。また、高レベル放射性廃棄物の処分費用につきましては、「特定放
射性廃棄物の最終処分に関する法律」に基づきまして、毎年、原子力発電環境整備機構に
拠出いたしております。
 次に、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」いわゆるRPS法
に関するご質問にお答えいたします。まず、「太陽光発電設備の系統連系に伴う電力受給
に関する契約要綱」は、余剰購入契約に対するご理解を促進する観点や契約手続に伴うお
客さまの負担軽減をはかる観点から設定しているものでございまして、実際の購入契約の
締結にあたりましては、従前と同様、お客さまのご了解をいただいたうえで契約をさせて
いただいております。また、同要綱による契約方法につきましても法令上問題はないと考
えております。
 次に、RPS法の運用についてでございます。当社が購入した太陽光発電からの余剰電力
は、RPS法の「新エネルギー等電気」として利用させていただいておりまして、従前より
検針時に購入電力量をお知らせいたしております。当該年度において利用した「新エネル
ギー等電気」の量につきましては、翌年度の6月1日までに経済産業大臣へ届け出ることと
いたしております。
 また、他の電力会社の管内にあります太陽光発電所からの電力購入につきましては、お
客さまからそのようなご要望があれば、検討させていただきたいと存じております。
 なお、太陽光、風力等の自然エネルギー発電は、枯渇することのない貴重な国産エネル
ギーでございまして、当社では、従前より余剰電力購入やグリーン電力制度を通じまして
普及拡大に努めてまいりました。今後も引き続き、これらの取り組みにより自然エネルギ
ーの利用を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、営業窓口の対応についてでございますが、当社では24時間お客さまのご用件に対
して、引き続き的確・迅速にお応えできるよう、より一層努力してまいります。
 太陽光発電の設置申請の処理日数に格差が見られるとの点につきましては、引き続きお
客さまのご希望日に合わせ、系統連系できるよう努力してまいります。
 最後に、電力自由化の下での経営戦略についてでございますが、当社では厳しい競争に
勝ち抜き、引き続き当社を選んでいただけますよう、お客さまのニーズに迅速かつ的確に
お応えしてまいりたいと考えております。

 次に大友哲さまからのご質問にお答え申し上げます。まず、RPS法に関するご質問にお
答えいたします。当社の15年度の「新エネルギー等電気」の利用量は、販売電力量2760億
kWhの0.35%にあたる9.9億kWhで、RPS法で求められる義務量を達成いたしております。こ
のうち、他社からの購入分は9.4億kWhとなっており、その内訳は、太陽光が0.3億kWh、風
力が0.3億kWh、水力が1.0億kWh、バイオマスが7.8億kWhとなっております。
 なお、バイオマスについては、その大部分が廃棄物発電によるものでございます。
 次に、北海道と本州を接続する送電線の増強についてでございますが、国の審議会で報
告されておりますとおり、大規模な投資が必要であることなどから、風力発電導入促進の
ために、この送電線を増強することは、費用対効果の面から見て現実的な方法ではないと
思われます。なお、自動周波数制御機能の増強の効果や課題につきましては、現在、国の
審議会におきまして検討中でございます。
 次に、当社が購入した電気を「新エネルギー等電気」として利用することに対する同意
の取得についてでございますが、公正取引委員会からは、当社のこれまでの対応に独占禁
止法上の問題はないと言われております。ただし、紛争の未然防止の観点から、引き続き
十分なご説明をしてほしいとの注意がありましたので、今後とも、RPS法の仕組みにつき
まして、お客さまに十分なご理解がいただけますよう努めてまいりたいと考えております。
 太陽光発電からの余剰電力の購入についてでございますが、当社は、新エネルギーの普
及促進に協力するため、その環境特性を最大限評価し、当社がお客さまに販売しておりま
す電力量料金単価と同等の価格で購入いたしております。
 「新エネルギー等電気相当量」のみを取り引きする場合の価格につきましては、RPS法
上の義務履行状況等を踏まえ、お客さまと個別に協議させていただきたいと考えておりま
す。
 なお、太陽光で発電されました電力の全量購入につきましては、その特性や経済性等を
総合的に勘案しつつ判断してまいりたいと考えております。
 最後に、原子燃料サイクルに関する当社の考え方につきましては、先ほど東井さまほか
5名の株主さまのところでお答え申し上げたとおりでございます。
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