「2003夏の旅はみんなの成長物語」
7月26日〜27日 第3回アウトドア犬養成講座(福島県檜原湖)
7月28日から7月31日 一歩の日本横断自転車旅 8月2日〜3日 
もてぎサマーキャンプフェスティバル2003

 

  1.発端
 つい一ヶ月前、一歩は「そろそろ乗れるんじゃないの?」と母に言われ、父がアジアを放浪し、ネパールでは5000mものエベレストベースキャンプにまで連れて行ったボロボロのマウンテンバイクに乗ってみた。足をめいっぱい伸ばしてやっと乗れるほどで、止まるときは足がつかないので大騒ぎ。最初いやがっていたが、今までの子供自転車より速い事がわかると、少し遠くへ乗っていくようになった。背伸びしたい年頃である。 そこで、せっかくだから、「一歩の日本横断自転車旅」にチャレンジしてみた。小学3年で、長野のおばあちゃんちに、106kmを二日かけて行った経験もあるので、峠越えは大丈夫なはず。5年生になった今、格段に体力も向上している。
 まず、どこを横断するかだが、後ろの日程が決まっているので4日間しか時間がないということから、一日70kmとして300km程度の行程を考慮し、比較的涼しく、交通 量の少ない東北を父が選んでくれた。テーマとして本州最東端をめざそうということに。サイトーだけに、サイトータン??なんちゃって。さらに気持ちいいところから始めたいので、男鹿半島の突端である入道崎からの出発にした。
 多分一歩は大丈夫だろうが、一番のネックは、近頃少し怒りっぽくなった夫がキレないかということ。一歩のスピードは夫の半分だからだ。夫は早くて性能のいい自転車を買ったばかりだし、自転車のハンデはむしろ一歩についている。とにかくゆっくりいつまでも走れる一歩はカメ、夫はウサギ。夫の忍耐力がためされる旅だ。さあどうなる事やら。
 ボロボロのマウンテンバイクは、ギアチェンジのパーツを取り替え、愛車バナゴンにも2台分のキャリアーをつけ、チャリ旅仕様に整備。
 いざ、福島に向けて出発。でも大雨で梅雨明けの目途もた立たずとくらい旅立ちだった。26日には早く現地入りしたいので、新潟で一泊。翌日福島入り。

  自転車に興味のある息子に指南する。

 

 

2.アウトドア犬養成講座  
  アウトドア犬養成講座ではトッポの兄弟のロッポ(福島在住)が早めに来てくれたので、大いに遊んた。やっぱり兄弟のバトルは格段に凄い。小さい頃は同じ顔だったのに、少しロッポの方が鼻が長い。河原家でとっても愛されていた。
 夫の本売り場では、南歩が大活躍。「いらっしぁいませー」「ありがとうございましたー」を連発し、笑顔を振りまいてくれて、売れ行き好調。犬たちの絵はがきや、日本縦断連盟のステッカーとストラップもつけて好評だった。

 

 
3.一歩の日本横断自転車旅
 イベントが終わると急いで、秋田に向かう。男鹿半島にはたどり着けず、手前の道の駅でキャンプ。ちょうど温泉付き。

●一日目
 朝は早起きで、入道崎にいき、記念撮影、観光バスや物売りが多くて不快なので、早々に出発。速度や疲れをなどの様子を見るため、バナゴンは少し走っては、自転車を待つことにした。休憩ポイントを探して待っていると、天気も良く、時速15km程度と快調のようす。道も良く快調だが、南歩も、犬も少し退屈。
 昨日行ったレストランで待ち合わせ。そのそばに子供の遊び場があったので行くと犬は断られ、一緒に行かないとイヤだという南歩は遊べず。サポート隊は、兄がいなくて寂しい南歩と、夫がいなくて寂しい犬とをどうやって紛らわせるかが重要な課題になりそうだ。

 さて、次は秋田市街地越えとなる。平地だが交通量も多く、難関である。自転車はどこを通 るかわからないので、市街地を越えたところでキャンプ地のロケハンを済ませて、地図にあるコンビニで夕方に会おうということにした。
 南歩のために、途中のトイザらスに入って、ミニカーをひとつ購入。これでしばらくはOKだろう。
 先に進むと待ち合わせの場所にコンビニはなし。その先までいくとこれがたいへんな山道で交通 量も多い。路肩も狭く自転車は難関になりそうだ。
 引き返して待ち合わせじゃないコンビニで待つことにした。しかしなかなかやってこない。何かあったのか???もう行っちゃったのか???交通 量も多く、騒音も凄い快適でないコンビニで待ち続ける。ケータイのない私たちには、ただケータイがないというだけで冒険である。  

 陽も傾きかかった頃やっときた。夫は開口一番「トラブル発生!!」。一歩のギアが変えられない。握力がないのでグリップを回す式のギアが変えられないのだ。早々に自転車屋探しのための電話帳と、さらに今度の本のあとがきをメールで送るため、ジャックのついた公衆電話も探さないといけない。まず駅をめざす。一通 でわかりにくい駅近くで、目的の電話を発見し、夫はメールと自転車屋捜し。その間犬たちを歩道でくつろがせていたら、通 る人のほとんどの人が笑顔で通過し、何人かはさわりまくり、話しかけてきた。秋田の人は犬好きだと確信する。
 話をしてみていい店を見つけるのは夫の特技だ。電話帳をデジカメで撮り、探すこと10分。本当にいい店を発見。県庁所在地に一軒くらいは、いい自転車屋があるものだ。当然自転車にはめっぽう詳しいし、対策として、高い金を出してギアチェンジツールを交換するより、サイクルグローブで対応してみてはどうかという現実案。一歩がためしてみていけそうなのでグローブを買った。3000円也。
 腹は減ったし、疲れたので、一歩の念願の「始めての焼き肉屋」にした。おいしそうにほおばる顔がいとしい。暗くなってから、あたりをつけていた空港脇の県立公園の駐車場にキャンプ。誰もいない広い公園は快適だった。

  どこにいてもラジオ体操は日課である。

 

 
退屈なサポート隊。

●二日目
 難関の峠越えに出発。越えてから角館方面に曲がると交通量は激減し、起伏の少ない快適なロードになる。角館の橋に近い体育館の駐車場で待ち合わせ。私の体調が悪く、休むためにサポート隊は一足先に角館入りしようとした。しかし、体育館が見あたらない。市街地を一周したが体育館は取り壊されたらしい。またしても待ち合わせ場所なし。
 そこで、自転車隊にも見つけやすい駐車場を探して寝ることにしたが、日陰がなく、犬も南歩もつらい。疲れから一寝入りして、犬と南を連れて、川を見に行ったら、自転車隊発見。
 観光客だらけの稲庭うどん屋で昼食を食べ、ふらふらしながら出発。今日は民宿でゆっくり寝たいと懇願。そこで田沢湖駅を待ち合わせとし、田沢湖の民宿を探せという指令が出た。一歩はまだ余力があるだろうが、ここを過ぎると峠しかない。
 駅に着くと南歩の大好きな新幹線「こまち」が見れる。ゆっくりしていたら雲行きが怪しくなった。明日は雨のようだ。
 自転車隊到着して、5件の民宿に電話して、素泊まり4000円子供は半額でいいという最も安い「民宿はるやま」に決定。他は子供も3500円だった。着くととやっぱり農家に毛が生えた感じの民宿だった。おまけに犬がいて、うちの犬に吠えまくる。 まあ泊まるだけだからいいかと思ったのはここまでだった。これが凄い当たり宿だったのだ。

 まず、部屋に上がるとき、一歩が私の荷物を「持ってあげるよ」とすべて持ってくれたのが良かった。そばにいた宿のおねえさんに、「いい子だねー」とほめられた。すると風呂からでてきた一歩が、大皿に山盛りのメロンをもらってきたのである。よし一歩が稼いだんだぞ。洗濯機をただで借りて大量 の洗濯をしていたら、「これで乾かすといいですよー」と扇風機を持ってきてくれた。次の日、請求された泊まり賃は、予想よりぐんと安かった。さらに帰り際、宿のお爺ちゃんがお茶の缶 2本とジュース2本をくれた。「お爺ちゃんちにきたみたいだね。」と南歩。こんな小さな事に心が洗われる。
 都会を歩いていると、みんな不機嫌に見える。渋滞や満員電車、何をするにも並んだりと、すっごく忍耐強いと思っていたが、やはりいらいらしているんだろう。いつの間にか私は田舎の人であった。
 あとで気がついたが、南歩の靴を忘れたので、電話して着払いで送ってもらった。お礼には一歩の登場する「行きあたりばっ旅5」の文庫にした。
 意外にもサポート隊のブレーキで予定が遅れたが、初日からトラブルもあり、サイトータン(最東端)は諦めた。「この際のんびりスローな旅にするか?」と問いかけたが、一歩は太平洋までの横断を成功させたいという。明日雨の中、一歩がどのくらい 進めるかにかかっている。

 

 
●三日目
 予想通り雨。7月30日だというのにまだ梅雨なのである。レインウエアを完璧にするが、今日こそ、奥羽山脈を越える最大の難所である。長いトンネルもある。民宿泊で回復した私は、今度は一歩の心配で一杯になる。交通 量は少ないが、これまででわかったようにトンネル内は歩道がなく、この辺は車がとてもトバスのである。
 先に行くサポート隊は、路面を確認しつつ、「ここは危ないなあ」などと空想しながらの走行。次は道の駅で待ち合わせ。
 雨は降り続いているが、早めに着いて犬の散歩を済ます。苦戦しているようでなかなか来ない。犬とともにベンチでくつろぐが、何をやるわけでなく、どこに行くわけでもなく待つのもつらいのである。ようやく、難所を切り抜けた自転車隊がやってきた。ずぶぬ れだが、興奮している一歩の気分が伝わってくる。  
 しかし、今日中にもう一つの峠を越えないと、ゴールはきついだろう。明日は釜石の小笠原さんの家に行くことになっている。いつも、朗読テープを送っている視覚障害者の友人宅である。
 昼食は15km先の盛岡郊外のモスバーガー。一歩には何よりのご褒美だ。
 次は盛岡市を越えて、太平洋までの峠だ。ちょうど峠に道の駅がある。ここでキャンプの予定だ。それほどきつくはないように思えたが、飲み物食料を充分に持っていなかった自転車隊は、夕方へろへろになって到着した。緩やかな上りが長く続き、最後に一気にヘアピンカーブになり、トンネルを越えると峠に到着するが、その間、店も水場も全くないのである。
 夫も一歩もノックダウン。しかし、明日からは下りしかない。

  雨の中をこぎ続けるぞ。

 

 

ここから太平洋だ。やったあーと思いきや、バナゴンを 探
して
ここから200m上り、そして200m下ってやっと浄土ヶ
浜に 着いた。怒るのも当然か。

●四日目
 最終日は快調に進んだ。昼食を済ませたあと、ラストランに突入。途中、ホームセンターで買い出しをし、一足先に宮古の浄土が浜に入る。20年前は駐車場が海のそばだったのに、駐車場から歩いて13分もかかる。車と自転車は全く逆方向からのアプローチとなるが、最も近い駐車場から行く。犬3頭と南歩と、着替えとサンダルを持って、浜で待つことにする。観光地度の高いここは、監視員もいてなんか犬も居づらい雰囲気だったが、みんなで迎えてやりたい。自転車隊は、てっきり海岸沿いを浜まで来るものと思っていたが、私たちが来た第三駐車場(高い場所)からやってきた。しかも、一歩の機嫌がすこぶる悪い。 「なんだよ?その顔は??」
 第一駐車場(低い所)からずっとバナゴンをさがして、坂を登ってきたというのだ。
「でも車だと国道に近い第三駐車場が最も浜にも近いんだから仕方ないだろ。」  とちょっと不機嫌な横断成功になってしまった。
 まあ、とにかく、みんな良くやった。
  282.39kmの横断成功。
 一歩がまた生意気になった。いい気になるなよ…。

 釜石の小笠原さんの家で、横断の祝いに三陸の幸を堪能し、一泊させていただいた。
 小笠原拓生さんは、私がBE-PALのテープを送っている友人だが、途中からの視覚障害で、見えるときからの夫のファンだ。文章も巧みで、教えていただくことが多い。メールのやり取りはもちろん、自分のHPも持ち、デジカメも使っているというので、どうやっているのか教えてもらった。音声ソフトを使っているわけだが、うちのHPには欠点があるとのこと。メニューページは、ロゴをつくっているので、テキストしか読んでくれない音声変換では、リンクのアドレスを全部読んでしまい混乱するらしい。今後の課題ができた。

 

 

4.サマーキャンプフェスティバル2003  
  次の日、気仙沼のシャークミュージアムに寄り、一気に茂木ツインリンクまで下る。 午後7時着。一転してホテル暮らしだ。しかし、ここは、犬連れには少しつらい。犬が歩いていいのは、オートキャンプ場か近くの山林だけである。したがって、とっても広いので、ホテルから車で移動して散歩やオシッコをさせないといけない。さらに駐車場には日陰もない。イベントだけでなく、打ち合わせや下見などで忙しい中、あっちに行ったりこっちに行ったりとたいへんである。
 子供らはホンダのコレクションホールで、車を見たり、ラボで車の組み立てやアシモに会ったりうれしそう。私はBE-PALのテントで必需品の長靴を3000円で、ホーローのケトルを1000円で、夫は長方形の七輪を6000円で購入。野田知佑さんや阿部夏丸さんや編集者の方など長い付き合いなので、オフの時間は親戚 の集まりのようで楽しかった。 詳しくはBE-PAL10月号。(サイン会の時、お客さんが少ないのではないかと
一歩が心配していた)
 撮影のある夫と犬たちは茂木に残り、私たちは新幹線で帰ることにした。時刻表を見て茂木からバスに乗ろうとしたが、夏休み中はないという。あわてて、他の路線を探し、そこまで送ってもらうが、新幹線はギリギリ、夫の打ち合わせにもギリギリと、最後まで予定通 りには行かないのであった。終わり。
 その後、犬たちは、ちゃんとモデルをしたらしい。 

 旅の教訓……「ケータイを持たないだけで大冒険」

以上、管理者片桐京子:記
以下、シェルパ斉藤:言 

 自分で書いている時間がない(スイス行き直前)。まあこんなもんかな(…以上を読んで)。怒りっぽくはないぞ!ちゃんと我慢したんだから。でも旅は楽しかったよね。
 冬は一歩と九州縦断に行こうかな? 一歩が5才の時、熊野古道を歩いたから南歩とも歩かなくちゃな。