『路地ぶどう』と『温室ぶどう』の違い

『路地ぶどう』と『温室ぶどう』の違いってわかりますか?店先で見る限り、これといった違いってわかりませんよね。そう、見た目はまったく同じなんですが、その作り方が少し違います。でも、この作り方の違いが、結構みなさんが気になるところの違いになったりしてるんですよ。

 

[だいさんからの説明]

『路地ぶどう』と『温室ぶどう』とは、大きく分けて2つの違いがあります。

ひとつは収穫の時期、もうひとつは消毒の回数です。

ビニール掛けの模様。高所恐怖症の方には向きません。

もともと『ハウス栽培』というのは、収穫の時期を早めることを目的として始まりました。ぶどう園全体をビニールで覆い、暖房機で加熱することで、ハウスの中は真冬でも初夏のような陽気になります。覆う時期は、収穫したい時期を5月ないし6月とした場合、そこから逆算して概ね150日前です。

とはいえ、ただ暖かくすれば、早く実るというものでもありません。熊やカエルのように、ぶどうも冬眠をする(『ぶどうの休眠期』と言います)のですが、この眠りから早く醒めるよう『休眠打破』という処置をしてあげる必要があります。具体的には、栄養剤を霧吹きなどで吹きかけてあげるのですが、これによって、ハウスの中は、まるで初夏を思わせるような、青々としたブドウ園へと様変わりします。

右奥に加温機と燃料タンクも見えます。

さて、こうした『ハウス栽培』は、収穫時期を早めるだけでなく、もうひとつの効果も産みだしました。それは、『路地栽培』に比べて消毒の回数を大幅に減らすことができたということです。植物にとって、太陽の光は、そのエネルギーが同化作用を活発にさせることから必要ですし、雨も、土の中の肥料分を分解し、根からその栄養を吸収するために欠かすことのできないものです。

とはいえ、この雨が植物に直接触れると、病害虫の繁殖を著しく促進することにもなるので、当然消毒の回数は増えることになります。その点、『ハウス栽培』では、ビニールが雨を遮ってくれますから、そういった意味での消毒は必要ないというわけなのです。ただ、ハウスの中は湿度が高くなってしまうので、灰色カビ病とスリップス(目に見えない小さな害虫。別名:チャノキイロアザミウマ)の被害を防ぐために、1回だけ消毒しています。

灰色カビ病の被害を受けたぶどう

スリップスの被害を受けたぶどう

ということで、『ハウス栽培』をすることによって、消費者のみなさまに、より無農薬に近いぶどうを、早く召し上がっていただけるというわけです。

 

 

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