田んぼ2001年の記録

            太陽光発電所増設工事
 12月に入ってから、発電所の田んぼの法面に太陽電池の増設工事を始めました。山間
地の田んぼの土手は草刈の苦労ばかりの厄介ものでしたが、これを太陽光発電に利用して
有効活用しようと言う世界で初めての試みになると思われます。今回実際に耕作している
場所に太陽電池を取り付けて田んぼへの影響やその管理方法について検証します。今回の
増設では、約40mの田んぼの法面の内25mに5.3KWの太陽電池を取り付けます。
             田おこしをしました
 11月9日に、トラクターで田おこしをしてもらいました。こうして来年まで寝かせて
おけば、わらや鶏糞が分解して良い肥料分になります。
            わらと鶏糞を撒きました
 11月1日に発電所の田んぼのわらを砕いて撒きました。また鶏糞も軽トラ1台分撒き
ました。11月3日、雨の中熊狩りの田んぼに鶏糞を撒きました。そして軽トラを洗車し
て今年の全ての作業が終了しました。
              お米の収穫終わる
 10月21日に熊狩りの稲の脱穀をしました。収穫量は白米換算で約360kgです。
これで今年の収穫が終わりました。この後は、稲わらを砕いて田んぼに撒いて、肥料の鶏
糞を撒いて田おこしをします。そして今年の農作業は終了します。
 除草剤も使わずに無農薬で本格的な稲作をと始めた取り組みが今年で5回目の収穫を終
えました。最初の頃は何もわからずに無駄な時間と労力かけてしまった事が多かったので
すが、最近では各行程で無駄なく最短の時間で作業を終える事が出来るようになりました。
悪く言えば手を抜ける部分の要領を得たとも言えるのですが。私自身の本職(歯科医)の
事に少し触れますが、今から21年前のちょうど今頃、大学病院での臨床実習が始まりま
した。大学5年の後半から実際に自分の患者さんを受け持って、指導教官の管理下で実際
に治療行為を行うのです。運転免許で言えば仮免許で路上教習に出るような状態です。そ
の時驚いた事は、治療行為に対する診療報酬の少なさでした。自分が社会に出てこの職業
でやって行けるか不安でした。それも今となっては取り越し苦労であったと思います。そ
れだけ自分が未熟だったということでしょうか。そして農業においても一つの職業として
同じ事が言えると思います。無農薬の農業は手間がかかって収入はわずかと思っていまし
たが、自分が初心者で未熟だったからそう感じていただけだったのです。今このページを
ご覧の方で、農業を本業として行っていきたいと思っている方は、今の日本の状況はチャ
ンスだと思います。会社勤めが嫌だからという動機の方には無理だと思います。しかし例
えば、会社勤めの場合には、やな上司や人間関係に苦労して自分の能力を十分に発揮でき
ない人は、農業では、額面通りにその人の努力や能力や体力が評価されると思います。今、
ちまたで話題の構造改革もマクロの部分ではリストラによる失業率の上昇とそれをどこで
受け入れるかが話題の中心になっていますが、ミクロの部分では、会社から自分の能力を
正当に評価してもらえないので辞めてしまう。一方で重要な戦力を失った会社は業績が低
迷してそれを解決する為経営者は更なるリストラをするという悪循環に陥ってしまいます。
その悪循環を断ち切らないとみんな駄目になってしまいます。だから今はみんなで悪い時
期が過ぎるのをじっと待つ事だと思います。会社からの評価が低くて収入が減ったりリス
トラされそうな人は、その仕事が好きならどうにか辞めないでしがみつく。もしかしたら
経営者が代わって良くなるかも知れません。経営者も目先の業績が悪いからといってリス
トラしないで、良くなるのをじっと待つ。そうすれば需要が急に回復してもあわてずにす
みます。そして株主は株価が上がるまでじつと待つ時期だと思います。そうすれば来年の
春、田植えの頃には良くなっているのではないかと思います。結論としては、農業をリス
トラ等の短期的な理由で始めるのは良くないということです。農業が好きで一生の仕事と
して続けて行きたい人がする事だと思います。
 秋においしいお米を沢山収穫するするポイントをまとめてみます。5月の田植えは、そ
の田の日照条件に合った量を多過ぎない様に植える。発電所の田んぼは日照が多いので肥
料も少なめにして、植える株も小さめにする。熊狩りの田んぼは日当たりも少なく水温も
低いので肥料を多めにして、大き目の株を植えるただし肥料が多いと不味くなるので注意
する。6月は、草取りを早めにするそして稲の苗が草に負けないように注意して7月末頃
に苗が大きく育ったらもう安心です。来年6月から新たに始まる田の草取りを頑張りたい
と思います。6月は夏のイベントの準備で忙しくなる時期ですが、草取りも十分に行いた
いと思います。田の草取りは辛い作業ですが、秋にすこやかに育つ稲を思えば楽しみです。
             発電所の稲の脱穀終わる
 10月14日、熊狩りの稲刈りが完全に終わり、発電所の稲の脱穀が終わりました。収
穫されたお米は、白米換算で約400kgです。そして翌日その新米を炊いて食べました。
やはり自然乾燥米なのでとてもおいしいです。普通お店で市販されているお米は、機械乾
燥米です。田んぼからコンバインで直接刈り取って、それを機械で熱を加えて乾燥します。
その為お米本来の香りが失われてしまいます。魚沼産のコシヒカリでも機械乾燥米では大
したことはありません。産地や品種よりも自然乾燥米は違うのです。一度自然乾燥米を食
べてみて下さい。そのおいしさに驚かれる事でしょう。
             発電所の稲刈り終わる
 9月29日、稲刈りが始まりました。29日の午前中に浅川さんに、バインダーで稲刈
りをしてもらいました。そして昼頃までには、田の全ての稲が刈り取られ、ひもで束ねた
状態になりました。午後から稲を干して乾燥させるためのうしを作製しました。発電所の
上の田では、おじいさん夫婦から孫まで一家総出で稲刈りをしていて倍の広さの田んぼで
も全ての作業が終わっていました。私は夜7時頃までヘッドランプをつけて稲をうしに干
して翌日は、朝から始めて午後5時に終了しました。途中、下の田んぼでは、コンバイン
がやって来てわずか30分で稲刈りから脱穀まで全てを終えていきました。熊狩りの田は
来週の3連休に稲刈りをする予定です。
 稲の束をただ干すだけの単調な作業ですが、終わったときの達成感は最高です。4月に
田植えの準備を始めてから約5ヶ月、収穫というゴールが見えてきたらです。今世界中で
テロに対する報復の戦争をするかで議論が起きていますが、同時に貧困とそれに伴う多く
の難民の存在も明らかにしました。そして今回テロに遭ったニューヨークの金融センター
では、お金という価値基準の基に世界の食料や資源が取引されてきました。そしてコンピ
ュータのキーボードをたたくだけで、世界の富を集めてきました。しかし世界の貧困を解
決する事は出来なかったのです。私が今回感じた達成感とは、そんな世界の貧困を解決出
来る経済活動の虚ではなく実の部分の達成感なのかも知れません。
             今年最後の草刈終わる
 9月16日は、今年最後の土手の草刈をしました。八ヶ岳南麓の傾斜地の田んぼには2
〜3mの土手がついています。そこの草刈を年に3〜4回行わなければなりません。たと
え耕作しなくてもです。発電所の田んぼの場合には、3m×110mの土手があり草刈に
半日かかります。私は発電所の田んぼを甲府の方から借りているのですが、私がこの田ん
ぼを借りる以前には、甲府から土手の草刈のために大泉村の別荘(実家)に来ていたそう
です。そしてその方は現在ご高齢でご子息も東京にいる為に草刈が困難になってきた所だ
ったのです。
 今年の7月頃、歯科診療所の待合室で「土手の草刈したかい?」と患者さんの話題にな
っていました。今年から中山間地補助事業が始まり地区で共同で田畑の土手の草刈等の管
理をした場合にいくらかの補助金が出るようになりました。10a当たり1万円程度。そ
して7月中旬頃に土手の草刈のチェックが行われたのでした。それでも深刻な高齢化の中
で将来はたとえ補助金が出ても困難になると思います。その為に例えば、補助金で休耕田
の管理を外部へ委託する等の施策が必要と思います。例えば農地の管理会社を設立して休
耕田の管理をする方法が考えられます。そして構造改革で生じた失業者を雇用する事も可
能になります。ただしその構造改革の実現は非常に困難が予想されます。何故なら今言わ
れている構造改革でリストラしなければならないのは、特殊法人等に役員等として天下っ
て来た中高年の高給取りで、楽して高所得が得られる立場から、重労働で低所得へ移行す
る事は、困難です。パソコンが使えればIT産業に就職して高給取りになれるのですが。
 話しは田んぼの土手の事に戻りますが、来年はこの発電所の土手で新しい試みをします
ので皆様楽しみにしていて下さい。
            稲の穂が全て出揃いました
 8月30日に、稲の穂が全て出揃いました。田んぼへこれ以上水の供給をする必要が無
いので、水を完全に止める処置をしました。今年の稲の成育は非常に良好で豊作が期待で
きそうです。昨年は赤字でしたが、今年は黒字となり自分の食べるお米はただになりそう
です。今後の予定ですが、9月末頃稲刈りをします。それをうしに2週間干してから脱穀
します。10月中旬には新米が食べられそうです。その後の予定は今後のお楽しみに!
              稲の穂が出ました。
 8月3日に、稲の穂が出ました。昨年よりもやや時期が早くなっています。穂の出る時
期は田んぼの部位によって違いがありますが、遅い場所でも8月いっぱいで穂が出揃う見
込です。今年は8月に入ってから天候不順の日ばかり続いていて、星のイベントが2度も
雨に降られました。8月12日のペルセウス座流星群の日は、雨は降らなかったものの、
雲が多くて流れ星は見えず願いは届きませんでした。いったいいつ願いがかなうのでしょ
うか?今年のしし座流星群は、11月18〜19日にかけて大出現が期待されていますが、
全ての願いをかなえたいものです。
            結局草取りは終わらなかった
 7月29日は、田植えからちょうど10週目に当たる日です。あと1〜2週間で出穂が
始まります。7月中はこまめに田んぼの草取りをしました。大きい草や、草の多い場所を
重点的に除草しましたが、結局草の成長のほうが早く、昨年同様に草だらけの田んぼにな
ってしまいました。出穂が始まると田の中に入る事が出来なくなりますから、除草もそろ
そろ終わり収穫を待つばかりです。今年の秋はまあまあの豊作になりそうです。上の田ん
ぼの写真は一見草の無いきれいな田んぼに見えますが、実際に現地で見ると、草が多くて
驚かれる事でしょう。その点写真は、最も良く見える角度で撮影してあらを隠せて便利で
すね!それでも今年は良く草刈されていて去年よりずっと綺麗な田んぼです。
               草が良く育つ時期
 6月25日にアフリカ日食から帰ってきて1週間ぶりに熊狩りの田んぼへ行ったら取り
残した草が、大きく育っていました。この時期は稲の成長も早まるのですが、それ以上に
草の成長も早く草取りには手が抜けない時期です。1週間農作業をサボっても田んぼはも
んくは言いませんが、サラリーマンの業界では大変なようです。日食旅行中に話題になっ
ていたのが、会社の同僚へのお土産の事でした。何年も前から休む事を宣言して参加した
方もいました。
            発電所の田んぼの草取り終わる
 6月13日、早朝から発電所の田んぼへ行って草取りをしました。翌日から雨が降る予
報なので、田の周りの草刈もしました。この田んぼは、田んぼにしてからまだ4年目なの
で水生の草が少なく草取りは簡単に終わりました。熊狩りの田んぼはまだ半分残っていま
す。
               田んぼの草取り始まる
 6月8日から草取りが始まりました。ざっと主な草を取りました。写真中央のひえはイ
ネとそっくりで区別がつきにくいのですが、小さいうちに取らないと後が大変になります。
根元にひげがあるのがイネで無いのがひえです。
               田植え後の水の管理
 田植え直後の水の管理は大切です。苗が十分に定着するまで水を枯らしてはいけません。
また、水位が深くて苗が沈んでもいけません。苗の成長にあわせて除々に水位を深くして
行きます。水位は排水口の渕の高さを木の板で調節して管理します。8月の出穂まで水位
をしだいに深くします。
               田植えをしました
 5月20日田植えをしました。田植えに先だってあらかじめ農協に注文していた苗をハ
ウスに取りに行きました。農協のハウスには、注文者の名札がたっていてその範囲の苗を
取る決まりになっています。今年は38枚(30×60cmの育苗箱)の苗を注文しまし
た。写真のように長いハウスの中央付近に苗があったため運び出すのに苦労しました。
 今年初めて友人の田植え機をお借りして自分で田植えをしました。田植え機はまっすぐ
に植えるのがけっこう難しいのですが、終わり頃には慣れました。翌日から、田んぼの四
隅に手で苗を植えました。また、育苗箱はきれいに洗って農協に返却しました。
                代かきが完了
 5月14日に田んぼの代かきをしました。と言っても毎年お願いしている代かきの名人
浅川辰治さんにお願いしました。代かきは、田に水を張った状態で30cmの深さで均等
に水平に耕す作業です。その後数日間土が沈んで落ち着いた状態で田植えをします。代か
きの良し悪しによって、田植えやその後の結果にも影響を与える大切な作業です。辰治さ
んは、80馬力の大型トラクターで30分程で1枚の田を代かきします。この日も村内の
田を何ヶ所も代かきしたそうです。そんなわけで、辰治さんは、大泉村の稲作には無くて
はならない存在なのです。
 日本の農業の現状は辰治さんのような70歳を超える高齢者がバリバリの現役で支えて
いるのです。近年田植えの時期になると、清里歯科医院の患者さんがめっきり減るのも、
高齢でも歯の治療に通えないほど忙しい証拠です。そんなわけで大友は、昼間から本業を
サボって田の見まわりに行っていました。
 発電所の田んぼ以外に、西へ1km程の所にある熊狩りの田んぼも耕作しています。こ
こは浅川太陽光発電所の浅川さんが所有している田んぼで、上流に田んぼが無い為に農薬
が全く無い状態にある理想的なところです。夏には蛍も飛び交います。田んぼの土手の状
態に注目してください。5年目にしてここまで草刈が上達しました。
               田に水を入れました
 5月12日、田に水を入れ始めました。数日後に代かきをします。そして田植えをしま
す。
              大雪が降りました
 1月27日に、3年ぶりの大雪が降りました。1998年1月には、積雪約1メートル
と言う過去に例の無い大雪か積りましたが、今回はそれに次ぐ大雪でした。3年前に大雪
をかき分けて太陽電池を並べたり、吹雪の中で配線工事をした事を思い出しました。
 上の写真を撮影した後、近くのホームセンターで買った鉄製のスコップで、太陽電池下
端の硬くなった雪を裏側から崩しておきました。翌日晴れれば滑り落ちます。写真を良く
見れば分ると思いますが、後方に設置した太陽電池の雪は、前方のより多く滑り落ちてい
ます。後方の物は、設置角度を約40度と前方のより5度多くしてある為です。その為1
月は後方の浅川第2発電所の発電電力量が10%程多くなりそうです。また雪の影響で昨年
より20%程、発電電力量が減りました。
 先日テレビで、最近の野菜の高騰について特集していました。茨城県の白菜農家では、
10〜11月の天候不順で生育が悪く例年の半分以下の収穫しか得られなかったそうです。
10〜11月の太陽光発電量は例年より、10〜20%少ない程度でした。でも農作物に
は致命的な影響があることが分りました。
 最近の日本経済の大不況も農業の天候不順の影響に比べれば、深刻になる必要はありま
せん。今までは個人の能力にかかわらず、会社に入れば収入が保証される良い時代だった
のです。これからは、個人の努力や天候のような経済の大きなうねりの中で、農業従事者
のように生きていく時代になるのです。天候不順の後には、必ず良い時期も来ます。そし
て私たちに太陽が幸せな収穫をもたらす事でしょう。
          農業感覚で太陽光発電
 私が太陽光発電を始めた当初から唱えている理論です。どう言う事かと言いますと、風
力や太陽光発電は天候などの自然条件に非常に左右される技術で、20世紀の工業化社会
から見ると頼りない技術に感じられるかもしれない。しかし、農業と言う技術から見れば
何十倍も効率が良くて優れた技術なのです。だから農業の延長線上に太陽光発電があると
考えれば、そのあるべき姿が見えて来るわけです。
 19世紀以降人類は、石炭や石油その他の資源を使って莫大なエネルギーと豊かさを手
にしました。それは、資源の一方的な利用で地球上の物質の大きな循環に乗っていないの
です。それがいけないと言う事で最近になってリサイクルしたり、石油等に頼らないでエ
ネルギーを得る手段を考え始めました。18世紀までは、何千年もの間、農業中心の地球
の大きな循環の中にいて、20世紀に急激に豊かになって、そして21世紀以降はこの豊
かさを維持しながら、再び地球の大きな循環に乗って、この先何千年も続けていけるかど
うかと言う大事な時期に今さしかかっているのだな!そう考えるととても興味深い時代に
今いるのだなと思います。
 よく太陽光発電に批判的な意見として、太陽電池がいずれはゴミになって環境を汚すの
ではないか?その答えは未だ出ていません。何故なら寿命が尽きてゴミになった太陽電池
はまだこの世に無いからです。この田んぼの中古の太陽電池は、今から約20年前に、N
EDOの実験用に製造され四国の西条の1000KWの太陽光発電所で約7年間使用され
ました。実験が打ち切られこの太陽電池は各地の研究機関に払い下げられました。ある大
学の研究室にあるものを1994年にもらって来て使っています。今でも新品同様の10
0%の能力を発揮していていつ壊れるか予想もつきません。もし自分の寿命が先に尽きた
ら、子供にその行く末を託せば良いのですが、子供が未だ出来ないのが悩みの種です。
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