還暦を前にして想うこと                    三浦 光宏  リストマーク戻る


                      JA山梨康生連文芸部「清流」 掲載(平成16年12月寄稿)

  人生60年と昔は言ったそうです。干支(えと)が60年たつと一回りして、元にかえるところから数え年で61歳を還暦といいます。
 還暦を祝う祝宴には、当日、本人は赤い頭巾
(ずきん)をかぶり、赤いちゃんちゃんこを着る風習があったそうです。

 私も来年には、その還暦を迎えることになります。勿論、赤いずきんとちゃんちゃんこを着て、お祝いをすることは断じてありませんが、これも人生の一つの節目の時期が到来したと考えるべきでしょう。

 幸い父母が健在で、父は84歳、母は81歳になりますが、父母から見たら私など、まだまだ洟垂れ小僧で、家業をやっと引き継がせ、やれやれやっと手が離れたといったところかも知れません。

  長男・長女が社会人となり中堅職員として活躍中ですが、そろそろ身を固めさせなくてはと、気になりだしたといったところです。
 孫の顔も見たくなる年齢にもなったということでしょうか。

  JAグループに勤務する傍ら、観光ぶどう園の経営をしていますが、父から引き継いだ「世界の葡萄 豊玉園」も、その特色を生かしながら、HPによる宣伝活動が軌道に乗り、yahooへの登録やドメイン取得、石和温泉旅館からのリピーターとの相乗効果で16年元旦からのアクセスも45,000、開設以来5年間のアクセスも通算125,000を越え、自家生産の葡萄はどうやら完売するまでの底力が着きました。

 景気低迷が続く中で、一人当たりの販売金額が小さくなり、観光葡萄園への団体招待旅行など大きなお金を落とすツアーは皆無になりましたが、そこそこの経営ができることに感謝をしております。

  観光葡萄園の経営も、ただ単に葡萄を売る時代から、特色を持った経営やサービスが必要な時代になりました。そのため、「世界の葡萄 豊玉園」の名の如く、特色ある世界の葡萄の品揃え(生産)や、自然に湧き上がる湧水、畑で取れた野菜料理のサービス、ハンモックの常設、安全に留意しながらのトラクターやバックホーの体験試乗サービス等々様々な工夫もしてきました。

 現在訪れる観光客は、いくら自然が豊かであっても無人島やコンビニのない不便なところは好みません。その農場が自然が豊かで、且つまた便利なところにあり、そして、遊び心がある憩える場所を好みます。そのような環境づくりと心の通った会話と家族的サービスが求められます。それが都会にない田舎の良さを再認識する場所になるのです。

  私は、当園のモチーフを「世界の珍しい葡萄との出会い、あなたの旅の思い出づくりのお手伝い!!」とともに(防除日誌公開(トレーサビリティ)による信頼・安全・安心農園)としての経営を基本とし、このことをHP上で公開し、家庭に居ながらにして豊玉園の様子が四季を通じて解り、シーズンになったら自分の好む葡萄が食べられる時期に来訪する。そんなHPづくりをしています。

  また、今年の10月には念願のミニログハウス(8畳)も建設し、石和にあって白樺とミニログハウスのあるコミュニュティーも模索してみました。 今後とも手作り感覚で、そのような環境作りをしたいと思ってます。 このような話題づくりも経営には欠かせません。HPを見てTBS王様のブランチやいろいろなマスコミが過去訪れました。今年は東海TVの番組でタレントの生稲晃子さんも見えられ、山梨の産業の紹介として葡萄園のコーナーに少しだけご一緒させて頂きました。

 俗に言う2足のわらじを履いた兼業農家でありますが、勤務先のJAグループにおいても身のある仕事をして残る期間今までのご恩をお返ししたいと考えております。

 勤務先での想いは、卒業するまでは全力で、我が人生をきちっと振り返ることができるよう頑張る所存です。

  還暦(60歳)を目前にして、自分の今までの人生と、これから歩む残りの人生に想いを乗せて考えてみました。

  これからの我が人生は、職場や家族との調和を図りながら当然歩むことになりますが、まだまだ人生半ばだと自覚しつつ、気を引き締め直して全力で歩みたいと考えております。

 そして、全力で歩む中にも少しばかりの人生の余裕と、心の楽しみも演出したいと考えております。

   「世界の葡萄 豊玉園」     URL http://www.toyotama.com/  e-mail  grape@toyotama.com