発電コストの比較

 経済産業省資源エネルギー庁は、電源別のモデル発電コストを公表してきました。そし
て2002年2月26日の会合の席で最新の数値が公表されました。その数値は、1kW
h当たり水力13.6円、LNG火力6.4円、石油火力10.2円、石炭火力6.5円、原
子力5.9円、太陽光発電66円、風力発電10〜24円となっています。
 そして驚くべき事に、太陽光発電と風力発電は資源エネルギー庁の中で担当している課
が違う為に、電力会社の発電所とは全く違う算定方式により発電コストの算定が行われて
いる事が判明しました。その違いは、電力会社の発電所は、建設費に対するコストを減価
償却費(定額法)により算出して金利負担を含めていませんが、太陽光発電は、運転年数
20年にわたって4%の金利負担がかかることを想定している算定方法です。したがって
概ね2倍程度高い発電コストになっています。それが今まで国のエネルギー政策を決定す
る会議等で資料として配られ比較検討されてきました。そして原子力発電の発電の優位性
が強調されてきました。
 それでは、資源エネルギー庁発表の資料により、原子力発電と太陽光発電の発電コスト
を比較してみます。
 まず原子力発電は、設備利用率80%で運転年数40年を前提に算定されています。1
kWh当たり、減価償却費その他資本費は2.3円、修繕費などの運転維持費は1.9円、
燃料費は1.7円となっています。合計5.9円kWhになります。
 太陽光発電は、1kW当たりの建設費94万円、運転年数20年金利4%を前提に算定
されています。発電コスト=年間総経費÷年間発電電力量となっています。年間総経費は、
設置コスト×年経費率で、年経費率=r÷(1−(1+r)~n)、r:利子率、n:運転
年数となり66円kWhになります。大友太陽光発電所のページには、具体的な計算結果
が掲載されています。現在の太陽光発電所の設備価格で40年の運転年数で、25円kW
hと言う現実的な結果が出ました。

 同一の算定方法で比較します
 電力会社の発電所のコスト算定方式で太陽光発電と原子力発電の発電コストを比較して
みます。両者の条件をそろえる為に同じ条件で比較します。両者の運転年数を30年、原
子力の設備利用率を70%とします。また原子力は消費地までの送電費もコストに加えま
す。太陽光発電は、設備利用率を12.5%とします。
 原子力発電の発電送電コストを計算してみます。資本費は3.3円、運転維持費は2.2
円、燃料費は1.9円、送電費2.3円、核燃料サイクルなどの国の原子力関連予算を全発
電量で割った額は1.5円(脱原発中電株主と一緒にやろう会のニュースレターを参考に
した。)となり合計11.2円kWhと算定されます。
 太陽光発電の発電コストを計算してみます。資本費に当たる減価償却費は、設置費用1
kW当たり60万円として16.8円、運転費は、3kW設備の30年間の修繕費を10
万円とすると、1.0円となり、合計17.8円kWhと算定されます。逆に太陽光発電の
設置コストが36万円kW以下になると、原子力発電のコストより安くなる事が判明しま
した。
 原子力発電の発電送電コストは11.2円kWh
 太陽光発電の発電コストは17.8円kWh
 太陽光発電の設置費が36万円kW以下になると原子力より安くなる

 大友第3太陽光発電所の発電コスト
 大友第3太陽光発電所の実際の発電コストを算定します。設置費用は50万円kWで設
備利用率は15%で、運転年数を30年とすると、減価償却費は11.6円となります。
その他に修繕費1.0円、借地料1.0円が掛かるので、合計13.6円kWhと算定され
ます。もし設置費用を全額年利2.5%で借り入れた場合には、金利として9.5円のコス
トが加算されます。実際に確定申告する場合は、17年で減価償却する為コストは高くな
ります。
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