東京電力株式会社 代表取締役 荒木 宏 殿 2001,6,16 東京電力株式会社第77回定時株主総会に対する質問書 株主 大友 哲 1・設備投資計画について質問します。 今年の2月9日に発表された設備投資計画凍結の内容に関しては、「今頃になってよう やく」と言う感想をもって受け取らせて戴きました。驚いたことは、大友が1996年か ら1998年にかけて質問した内容(別紙1)と、1998年に発表した質問と回答に基 づく感想文(別紙2)とそっくりの内容であるからです。省エネ機器の普及により電力消 費が減少することは、素人の私でも1996年から予測出来ました。 1 計画を凍結した、未着工の原発を含む発電設備は今後の着工の見込みはありますか。 今後の電力需要の予測を含めて回答して下さい。 2 万が一需要が急増した場合(無いと思うが)の供給責任について、電力小売自由化 の中で東京電力の責任は薄れて来ていると思いますが、今後具体的にどのように対応 されますか。割高な東京電力と契約しているお客様も、割安な小売事業者と契約して いるお客様も同一系統で連系されているので停電するときは一緒だと思いますが、そ の差別化はどうなりますか。消費者のリスクに対する自己責任はあると思いますか。 3 もしも新規原発建設を中止する場合のCO2の削減対策についてお伺いします。 (原発建設はCO2の削減になるとは思いませんがあえて質問します。)経産省の方針 によれば、CO2削減対策として、原発建設を推進していますが、例えは代案として 自然エネルギー発電の推進を行う事は出来ますか。例えば大口需要家にグリーン電力 基金に拠出を促す等の対策を講じることは可能ですか。 2・太陽光発電からの電力買い取り価格に関して質問します。 昨年の株主質問でこの件に関して伺いました。また、株主総会の会場でも直接伺いまし たが、そちらの回答にどうも納得が行きませんので再度質問致します。 現在は、太陽光発電の売電単価は、余剰電力購入契約しか無いために、電力需給契約に よって、最も安い動力の10円27銭から最も高いナイト10の2段目(消費量を越えて 売電する場合)の料金31円55銭まで約3倍の格差がありますが、それは売る電力の質 には全く関係が無く、むしろ安い3相電力の方が質が良くなっています。このような矛盾 を是正するために、余剰電力購入の料金体系を見直す予定はありますか。また太陽光発電 の電力全量を買い取る料金制度の創設の予定はありますか。回答は、あるなしだけで無く、 その理由も述べて下さい。 昨年伺ったご回答によると、「現在の余剰電力買い取り制度は、購入価格と同額と言う 非常に有利な条件のため、太陽光発電の普及に寄与している」その事には、納得していま す。しかしこの制度は、住宅の屋根に3〜6kW程度の規模の太陽光発電システムを設置 することを前提としているために、例えば、少し大きい規模の太陽光発電システムを設置 して売電を目的とする場合に不都合があります。 私は、遊休農地に売電を目的とした20kW程度の規模の太陽光発電システムを数カ所 設置して、農家が副収入を得る方式を模索しています。その前段階として、当社の太陽光 発電の実用化に関する研究に参加させて戴きインバータの開発を行いました。そして現在 は、その技術を応用してコスト削減等を行い、その実現に向けて努力しています。そして 現時点で言える結論としては、3相200V20kW程度の規模がコスト的にも技術的に も優れていることが分かりました。しかし、売電単価が安すぎることがその実現を困難に しています。 ご参考までに、3相200Vが優れている理由は次の2点です。 1,単相3線式に比較して系統電圧上昇の割合が少ない。単相100Vでは、発電時に電 圧が107V以下に発電量の抑制などの制御をしなければなりません。10kW以上の太 陽光発電システムでは、電圧が許容範囲を上回ることが多く、東京電力韮崎営業所配電課 による柱上トランスのタップ調節で対応して戴いています。ところが最近更に同じ場所に 太陽電池を増設しようとしたところ、タップ調節では対応出来ないとのことで、配電線の 設計変更、更には当該変電所における電圧調節を検討しているとの事でした。 一方で、3相200Vの太陽光発電では、20kWまで発電した経験から、系統電圧が 222Vの許容範囲を超えたことは一度もありませんでした。 2,発電効率が優れている。インバータのコストが安い。3相は単相に比較して、発電効 率が数%優れています。また、インバータの部品をコンパクトに出来ることから、kW当 たりの設備費を軽減出来ます。それらを総合すると、発電コストが10%以上低減出来る ことが分かりました。 3・クリーン電力基金とその運用方法、自然エネルギー発電の将来像についてお伺いし ます。 1 お客様から寄付として徴収した基金の配分方法に方法についてご説明下さい。特に 基金を提供する自然エネルギー発電事業者の定義についてご説明下さい。私のように 遊休農地を利用して太陽光発電の売電事業を行っている個人事業者は該当しますか? ヨーロッパでは農家が風力発電を設置して売電事業を行っていますが、そのような農 家も該当しますか? 2 太陽光や風力等の自然エネルギー発電と燃料電池やバイオマス発電等の分散電源は、 将来供給源の主役になりますか、それとも21世紀後半になっても100万kW級の 大型発電所が主役であり続けるとお考えですか? ◎終わりに 今年の2月に発電所の建設計画の凍結を発表したことは、遅すぎた決断にせよ評価出来 ることだと思います。さらに考えを進めて、電力自由化の中で会社をコンパクトにしてど のように存続させるかを模索する時期に来ていると思います。 自然エネルギー発電と電力会社の関係は、親子のような関係だと思います。電力会社の 大型発電所から見ると自然エネルギー発電は欠点ばかりが目立つ存在だけと、親は子供の 欠点を責めるのではなく、長所を延ばしてあげるべきだと思います。そうすればきっとエ ネルギー原の主役に成長します。それを暖かく見守って下さい。そして将来親が子供に主 役の座を譲るときもきっと子供達は親の老後のめんどうも見てくれると思います。 東京電力韮崎営業所の方々には、いつもお世話になっていますが、今後とも末長くよろ しくお願い申し上げます。 大友第二太陽光発電所に関してはホ−ムペ−ジをご覧ください。 http://www.eps4.comlink.ne.jp/~satoruot/ 〒407−0301 山梨県北巨摩郡高根町清里3545−3902 0551−48−3822
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